音楽周辺

2009年の20曲

もう2010年になってからずいぶん経ちますが、2009年の20曲を選んでみました。 スターライトP「スターライトトラベラー」 「宇宙ヤバイ」のスターライトPのこの曲は、タイトル通り宇宙感あふれるスケールの大きな曲になっています。冒頭のシンセのフレーズか…

ポップスファンの教養主義の崩壊

メルマガ「パトス・ハメ」の「2. 対談連載 DJ TECHNORCH × 冨田明宏 『同人音楽』 第1回」の中で、以下のような一節がありました。 冨田: 昔から、島宇宙のような聴き方をする音楽ユーザーはいたと思うんです。ただそれは、いくつかの音楽ジャンルをある程…

ぼかりすやV. Morishが何を引き起こすか

現在人間が歌った歌の特徴をデータ化するぼかりすなどの試みが始まっているが、これは歌い手の声と歌い方を分離させる。その際、歌い手の歌そのものは著作権で保護されるとしても、ものまねを見ても分かるように、歌い方が著作権で保護されるとは思えない。…

作者と匿名的創作とアーキテクチャー

ゼロアカ道場の第五関門まで行った峰尾さんの動画がニコニコ動画に上がっていました。この中で、私がこの間書いた「初音ミクの分裂」に関わるような、ニコニコ動画における古典的作者の復活について言及がありました。 個人的にはニコニコ動画に於ける古典的…

supercell は何故売れたかという問いは適切か

「Waste Of Pops 80s-90s」さんで、supercellが売れた理由が良く分からないと書いてありました。その理由はもの凄く単純で、supercell のryoさんが現在のVOCALOIDのプロデューサーでダントツに人気があるプロデューサーさんだからというものになるでしょう。…

初音ミクの分裂

1. はじめに私が「主体は『初音ミク』ではなくプロデューサーさん」を書いたとことに端を発し、id:GiGirさんが「初音ミクという神話のおわり」を書いたことで、初音ミクに対する人々の意識が変化していることが、ネット上の極一部の人々の間で知られるように…

巡音ルカでネタ曲よりオリジナル曲の方が人気が出た理由

現在、「巡音ルカ」を使った楽曲がニコニコ動画のランキングを席巻していますが、そのほとんどはキャラクター的要素やネタ的要素のないオリジナル楽曲です。これは、「初音ミク」や「鏡音リン/レン」、「がくっぽいど」が発売されたときとは、かなり異なった…

巡音ルカ発売直後の状況

1月30日に新しいヴォーカロイド「巡音ルカ」が発売されました。発売直後の最も注目される時期ということで、作り手が大量の楽曲をニコニコ動画にアップしたため、ランキングに「巡音ルカ」の楽曲が大量に登場しています。そのような状況を見て私が感じたこと…

「Seventh Heaven」 feat. jamバンド

先日「Music Maker」というDAWソフトを手に入れたので、早速一曲作ってみました。「Music Maker」のマスコットキャラクターになっている jamバンドのメンバーのvoiceデータとPerfumeの「Seventh Heaven」のバックトラックを使わせていただいて、MAD的な方法…

井手口彰典さんによる「萌えのマトリックス」

「國文学」2008年11月号の「特集『萌え』の正体」で、井手口彰典さんが、「音楽萌え −その諸相と東方・初音ミク−」という論考を寄せています。この論考の肝は、東方プロジェクトや初音ミクといった事例研究と言うよりも、音楽と萌えの関係を概観する分析フレ…

2008年の10曲

皆様、明けましておめでとう御座います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。2008年の音楽界を振り返ってみると、個人的には、自分の好みの曲やアーティストを手軽に見つけることができるインフラが揃ったため、自分の好みの曲を沢山見つけて聴くことが…

MAD は音楽として聴いた場合新しいかも

ニコニコ動画では、膨大なMADが公開されていますが、その多くは、動画だけでなく、音も切り張りして作られています。例えば松岡修三やガチムチパンツレスリング、フタエノキワミ、ねるねるねるねなど何か面白い音素材があれば、多くの人がそれらの音素材を切…

サンプリングコラージュを使った萌えソング

個人的に、ニコニコ動画で音楽的に面白いと思うのは、バックトラックにサンプリングコラージュを乗せて、ヴォーカルトラックにした曲です。代表的な作者は、未来派先生やTPTPさんですが、他にも色々作っている方々がいるようです。 【ニコニコ動画】【jamバ…

ヴォーカルを切り張りして再構成した歌

ヴォーカルをサンプリングして、一度バラバラにして再構成したヴォーカルは、De De Mouseやi-dep も使っています。誰の声なのかはほとんど全く問題にならず、ヴォーカルトラックは、バックトラックの他の音と並列的な関係にあります。その点で、人力Vocaloid…

Perfumeで人力Vocaloid

ランキングで、Perfumeの「セラミックガール」のIKZOバージョンが上がっていました。この曲のサビでは、Perfumeが「オラこんな村やだ」と原曲にない歌詞を歌っています。そのため、謎の技術と、視聴者が驚いています。これはおそらく、人力Vocaloid、つまり…

技術や環境は激変しても、音楽そのものは変わらない。

「ユリイカ」増刊号の「総特集初音ミク」の中で面白いと思ったのは、座談会で東浩紀さんが、初音ミクや同人音楽が盛り上がったことで、何か新しい表現が出てきたのかを執拗に聞いていたことです。これに対し、テクノウチさんは、クラブミュージックというポ…

2008年6月がキャラクターが作者に逆転された分水嶺か?

「VOC@LOID通信」で、「月刊VOC@LOIDランキング」の結果をざっと見てみました。初期はPVやネタ曲、「ボーカロイド」曲が圧倒的に強く、次第にキャラクター的でないオリジナル曲がランキングで目立ち始め、オリジナル曲が過半数を占める状況になったという印…

OSTER project feat. 初音ミク 『みくのかんづめ』は、オリコンアルバムチャート21位

OSTER project feat. 初音ミク 『みくのかんづめ』は、オリコンアルバム週間チャートで21位でした。売り上げは、10043枚です。このアルバムは、最初こそデイリー8位に入ったものの、すぐに急降下し、現在はデイリーの30位に入っていません。「みくのかんづめ…

「ぼかさち」に見る「ボーカロイド」曲の比率

「ぼかさち」に登録された楽曲のうち、「ボーカロイド」*1に関する歌詞がつけられた曲がどれくらいあるかを調べてみました。 月 「ボーカロイド」曲の比率 全登録曲数 「ボーカロイド」曲数 2007/09 10.6% 141 15 2007/10 11.2% 233 26 2007/11 9.5% 253 24 …

「ぼかさち」に見る全楽曲中の「ボーカロイド」曲の比率

先日の記事は大変大きな反響を呼んだようですが、私は根拠のない思いつきを書いているだけですので、私のブログよりも、Vocaloid楽曲のデータベース「ぼかさち」を活用し、その管理者であるid:xaby_bokasachiの「ぼかさちVOCALOID考察部屋」を読んだ方が、初…

何故初音ミクよりも作者に注目が集まるようになったか。

先日、初音ミクというキャラクターよりも、初音ミクを使った楽曲を制作した作者に注目が集まるようになってきたと書きましたが*1、「ぼかさちVOCALOID考察部屋」さんで指摘されていた、「みくみくにしてあげる」の被リンク数を「メルト」が上回ったことや、…

absorb/absorb feat. 初音ミク「桜の雨」は週間32位

absorb/absorb feat. 初音ミク「桜の雨」は、オリコンの週間シングルチャートで32位、4472枚の売り上げでした。http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/more/4/ニコニコ動画では40万を越えるアクセス数で、派生動画もかなりのアクセス数を稼ぎ、シングル発売に合…

livetune feat.初音ミク 『Re:package』が13週連続オリコンにランクイン

「初音ミクみく」さんで、11月25日に「出た!「Re:Package」が連続12週オリコン週間ランキングにランクイン!」という記事がありましたが、「GLOOMの雑草のようになんとなくな日記」さんによると、11月30日付のオリコンシングルチャートでも、『Re:Package』…

日本ポピュラー音楽学会第20回大会

成城大学で開催された第20回の日本ポピュラー音楽学会に行って来ました。成城大学の中には池があり、良い雰囲気でしたが、たまり水なのか水はかなり淀んでいました。学会が開催されたのは一番奥の建物で、入り口で大会参加費を支払い中に入りました。大学の…

アニメのCDはどこで売れているのだろうか

慈風Pの動画を毎日見ていた影響で、前々からほしかった中島愛の「星間飛行」のシングルを買う決心がようやくついたので買ってきました。しかし、HMVや新星堂には置いておらず、結局とらのあなに行って買いました。関係ありませんが、とらのあなのレジの少女…

タワーレコードの変質

タワーレコード仙台店は、今年の夏に仙台中心部のアーケードにあるフォーラスというファッションビルから、駅前に出来た新しいパルコに移りました。その際、店舗の性格が、かなり変質しています。店舗の面積は、パルコに移り格段に広くなりました。しかし、…

プロデューサーさんとアーティスト

先日の「主体は、「初音ミク」ではなく、プロデューサーさん」に関連する話です。 現在ランキングに上がっている「Chainning Intention」という曲のコメント欄で、作者のTreowさんが、自分に付けられたプロデューサー名に不満を感じてふてくされているような…

2007年の初音ミクオリジナル曲をデータで振り返る動画

【ニコニコ動画】2007年の初音ミクオリジナル曲をデータで振り返る動画 その1 【ニコニコ動画】2007年の初音ミクオリジナル曲をデータで振り返る動画 その2 【ニコニコ動画】2007年の初音ミクオリジナル曲をデータで振り返る動画 その3

主体は、「初音ミク」ではなく、プロデューサーさん

井手口さんの論文には、コメントがつけられており、このやり取りも興味深いものです。井手口さんは、コメントの中で次のように述べています。 コメント者様は、「我々が初音ミクを聴くとき、その背後にはなにも存在しないことを十分に自覚している」という私…

井手口彰典 「録音メディアにおけるリアリティの所在――グレン・グールドから初音ミクへ」

井手口彰典さんの「録音メディアにおけるリアリティの所在――グレン・グールドから初音ミクへ」を読みました。この論文は、21世紀COEプログラム「『人類の幸福に資する社会調査』の研究」のディスカッションペーパーとして2008年1月20日に公表されたようです…