『デトロイト・メタル・シティー』

今日は、映画『デトロイト・メタル・シティー』を見てきました。シネコンでは小さめのスクリーンで上映されましたが、大部分の席が埋まる盛況振りでした。普通の若者が多く、普通に大ヒット映画という感じでした。

内容は、渋谷系お洒落ポップスが大好きな根岸宗一は、ポップスの才能はないが、デスメタルには天才的な才能を持ち、メタルでバンドで成功するが、納得が行かず苦悩するというコメディーです。

基本的には、原作の面白い場面を再構成して作られた作品なのですが、内容的には原作とは全くかけ離れたものになっています。原作では根岸は、怒りでぶちきれるとクラウザーさんの姿になってやりたい放題やるというヤバイ男ですが、映画の根岸は、クラウザーの姿をしているときでも、人格が変わったりはせず、あくまでクラウザーを演じているという普通の若者になっています。

そのため、映画の根岸は、原作の根岸と違って、本気で自分がやりたい音楽と、自分に才能があり、成功している音楽のギャップに苦しむことになります。この映画では、「No Music, No Dream」という原作では出てこない胡散臭いスローガンを強調し、自分の夢を叶えることや他人に夢を与えることをテーマにしています。

つまり、この作品は、根岸がクラウザーとしての自分を肯定し、なおかつ他人から承認されるまでを描いた、自己実現映画になっています。

このように、この映画は、原作の面白い設定やエピソードを借りて、そこにベタベタなドラマを付け加えて作られた映画になっています。そのため、原作にあったマニアックな雰囲気や過剰な部分は削ぎ落とされ、安心して見ることが出来る、正統派の娯楽作品になっています。

音楽に関しては、ポップス部分は本家本元カジヒデキ作ということで完璧な出来です。メタル部分は、全然デスメタルになっていませんでした。メタルっぽいロックという感じです。ただ、余りに本格的デスメタルだと、観客が引いてしまうので、あれくらいの聴きやすい曲でないと、娯楽作品では難しいのでしょう。『ファッキンガム宮殿』も、全く激しさのないもったりしたハードロックで、全然ヤバイ感じはなかったですが、ジャック・イル・ダークを演じるのはジーン・シモンズなので、あれで良かったのでしょう。

役者の演技は全体的に類型的で過剰で、悪い意味でコメディー的でしたが、松山ケンイチは見事に根岸宗一とクラウザーさんを演じており、この映画の成功の最大の功績は、彼の演技にあるといっても良いくらいの好演でした。

映像や演出もかなり出来が良く、原作の無理がありすぎるギャグを、寒くならず、笑えるように演出していました。ライヴシーンも、激しく動くカメラや早い切り替えのカット繋ぎなど、迫力あるものに仕上がっていました。また、タイトルバックの映像が素晴らしかったです。ただ惜しかったのは脚本で、終盤グダグダになるので、もうちょっと練ってほしかった気はします。

全体的に、良くできた真っ当な娯楽作品になっており、大ヒットを飛ばすのも納得できると思いました。

松屋で「Packaged」がかかる。

今日松屋牛めしを食べていると、店でかかっていたラジオから、Kzさんの「Packaged」が流れてきました。「ニコニコ動画」発のヒットということで、感慨深いですね。海外だとMy SpaceYou Tube 発の大ヒットは珍しくないですが、日本だとネットで優れたアマチュアミュージシャンが注目され、大ヒットを飛ばすということは本当に珍しいと思います。

さて、『Re:package』ですが、本日はアルバムデイリーチャート10位に下がっています。konozama砲は一日しか効果がないのでしょうか。しかし、順位が乱高下して、不安定極まりないですね。