MEGA☆ROCK 2009

今年も仙台でDate FR主催のMEGA☆ROCKS 2009が開催されたので行ってきました。

夕方まではZEPP SENDAIで有名バンドの演奏が行われます。私はオープニングアクトのEGは見逃し、次のthe telephones から見ました。the telephonesは、甲高い声の歌と四つ打ちのリズムとピコピコシンセと、ダンス+ニューウェーブという典型的ゼロ年代後半ロックバンドでした。とにかく「踊れ」「Are you Disco?」と客を煽り、非常に盛り上げました。テンションが高く、客を盛り上げ、踊らせることに特化したバンドで、このような観客に対しフレンドリーなバンドは成功するのだろうと思います。キーボードの人がほとんど演奏せず、ひたすら痙攣したような動きのダンスをしていたのが面白かったです。

次はNICO Touches the Wallsが演奏しました。音は硬質で、演奏が非常にカッチリしていました。その演奏の上手さや微妙な地味さが、どことなくグレープヴァインを思い起こさせます。曲も良いし、演奏も凝っているし、ヴォーカルの人も男前で、まだまだ人気が出そうだと思いました。しかし、このバンドも四つ打ちの曲をやるときに一度やってみたかったと言って「Are you Disco?」と煽っていたのが面白かったです。

次はBase Ball Bear が演奏しました。リズムはほとんどずっと四つ打ちで、ギターとリズムの絡みも凝っていますが、メロディー中心の歌謡的な音の組立になっているので、余り踊れる感じではありませんでした。小出がメンバー紹介をするときに、冗談ばかり言っていて、しかも自分の紹介をしていませんでした。秋なので「エレクトリック・サマー」が聴けず残念でした。小出がMCで向井のような感じのことを言っていました。しかしBBBはナンバーガールからかなり影響を受けたバンドなのに、キャッチーでダンスな全然違う音になっているのは面白いです。

最後にThe Back Hornが演奏しました。歌詞は90年代的なトラウマ系ですが、ヴォーカルの声が結構高めで、演奏もストレートなパンクなので、余りヘヴィーという感じではなく、どことなく青春パンクな感じも漂っていました。ベテランだけあって大変人気があり、アンコールもやっていました。


ZEPP SENDAIでのライヴが終わると、市内にある10個の会場で、無数のバンドのライヴがあります。私はライヴを見る前に、MEGA☆ROCKSの協賛をしてくれた中嘉屋食堂で食事をしました。この不景気なときにロックイベントを後援してくれた感謝です。


その後Neo BorotherZというライヴハウスで、winnieを見ました。男女ヴォーカルのロックバンドですが、見るのは一年振りでした。演奏は昨年よりも格段にアグレッシブかつ引き締まっており、大いに成長したようでした。私がNapsterで愛聴している「first class speed of light」がラストだったのですが、音源よりも格段にダンス度の上がった演奏になっていました。

次はそのままWho the Bitch を見ました。Who the Bitch は、女性二人がギターとベース、男性がドラムのスリーピースです。演奏はストレートなパンクでした。演奏は非常に勢いもあり、関西弁の掛け合い漫才のようなMCも面白いし、客煽りも上手いし、これからどんどん人気が出そうな勢いを感じました。しかし、こういうパンクバンドも、最後の曲では客に「デスコ」と叫ばせ、四つ打ちのダンスな曲をやっていたので、本当に時代は四つ打ちなのだと感じました。

次はJeepta を見ました。このバンドは、メロディアスでありながら、演奏は非常に音圧が高く、タイトというバンドでした。始めて聴くバンドだったのですが、曲も演奏も非常に素晴らしく、これから要チェックだと思いました。

http://www.myspace.com/jeepta

次は今回のMEGA☆ROCKSのメインイベントschool food punishment を聴きました。始めて生で聴きましたが、その演奏力の高さに舌を巻きました。特にドラムが凄い。あの複雑なフレーズを、音源と遜色ない、あるいはそれ以上のレベルで演奏するのだから半端ないです。特に「You May Crawl」の演奏は本当にやばかった。トルネード竜巻なき今、キャッチーでありながら凝りに凝ったポップスをやるバンドといえばsfpが筆頭になるので、絶対に生き残って欲しいと思いました。

ただ、最新シングルは、彼らの演奏力の20%くらいしか使っていないようなぬるい曲だったので、もっと彼らの演奏力が発揮できるような曲を作って欲しいと思いました。メジャーに上がったのは良いですが、音楽的な向上と商業的成功の上手いバランスを何とか取ってほしいと思いました。

あと、ヴォーカルの女性が案外綺麗でセクシーで驚きました。

次は隣のライヴハウスennで、Mellowheadを見ました。ベテランらしく、良い意味で肩の力が抜けた、メロディーも演奏も洗練された大人のロックでした。「Better days」を生で聴けたのですが、本当に良い曲で、幸せな気分になりました。

最後にHOOKで毛皮のマリーズを見ました。「夏の魔物」に行けなかったのでそのリベンジです。HOOKは入り口まで人でびっしりで、毛皮のマリーズは大人気のようでした。演奏は、リフ中心のハードロック、あるいはパンクでしたが、ヴォーカルのカリスマ性が凄く、銀杏BOYZの峯田やサンボマスターの山口を思い起こさせました。演奏の上手い下手を超えて、観客を熱狂させる力のあるバンドで、これは凄いことになるかもしれないと思いました。

全体を通じて感じたのは、四つ打ちでダンスが今のロックの流れだということです。この日私が見たバンドで四つ打ちを一度も使わないバンドがあったかどうか。とにかく、踊らせて、盛り上げるというのが今の流れなのだろうかと思いました。

また、ZEPP SENDAIでは見たところ観客の7割くらいは女性で、ロックは男のものではなくなったのだと思いました。暴れに来た感じの男の子はほとんどおらず、男子も大人しい感じの人が多いような気がしました。鬱積した感情を抱える若い男子は、どこで発散するのでしょうか。

また、やはり全体的に層が厚くなっていると感じました。ZEPP SENDAIで演奏したバンドは人気バンドですが、小さな箱でやっているバンドでも、メジャーの有名バンドよりもキャッチーな曲をつくったり、演奏力が高かったりすることは珍しくありません。これだけ全体的な水準が上がると、飛び抜けるのは難しいなと思います。

いずれにせよ、一日中ロックを見ることが出来て楽しかったです。今まで知らなかったバンドを生で見られるのも、こういったイベントの醍醐味ですね。