2009年上半期ニコマス20選

もうとっくの昔に集計が終わっている2009年上半期ニコマス20選ですが、私も選んでみました。




シラカワPのこの作品はニコマス物語PVの一つの到達点だと思います。白をベースに薄い青の透過光を入れた色彩設計が素晴らしいですし、短いながら物語とメッセージが素直に伝わってきました。雪歩が上から降りてくる青い地球を手のひらで受け止める場面は、ナオキPの「Flower and Ice」の花びらが舞い上がる場面に匹敵する美しさだと思いました。


タクヲPのこの作品も、「空想メロウ」に勝ると劣らない物語PVだと思います。終盤の怒濤の展開に圧倒され、凄いものを見たと思わされました。「空想メロウ」や「サンデイ」を見ると、ここまで来るともはや二次創作とかMAD という枠は完全に超えているのではないかという気持ちにさせられます。


機能美Pのこの作品は完全に物語ですが、ネタというよりは画面のデザインとリズムで楽しませてくれる作品でした。そのデザインや編集のセンスは素晴らしく、8分51秒という長い動画であるにもかかわらず、あっと言う間に終わったと思うくらい面白かったです。


メイPのこの作品も物語PVです。ありすえPの作品のリメイクですが、物語の見せ方が非常に上手いと思いました。伊織が消えた後残されたやよいの手だけが映し出されるカットは、ニコマスPV史に残る名カットだと思います。


tloPと柏城Pのこの作品は、キネティックタイポグラフィーを大胆に使った物語PVです。短いながら伊織のキャラクター性を強烈に印象づけるインパクトの強い作品だと思います。


iM@S Collaboration Festival 2 - Ending」のサプライズでKenjoPとNDKPがコラボして作った動画は、アイドルが二人一組になってステージに立つという自己言及的な内容でしたが、台詞を一切使わずに物語を語るミュージカル調の演出が良かったです。それにしてもカメラや編集が本当に巧みで、ニコマス動画の編集レベルは凄いところに来ているなと思いました。BGMも良いですね。


つかさPのこの作品も物語PVです。シンプルなストーリー、ダンスの楽しさ、キャラクターのかわいらしさ、画面のデザイン性など完成度の高い、見ていて微笑ましい作品でした。


orgonePとfftqPが組んだこの動画は、音も凄いし映像も凄いというかなり規格外な作品だったと思います。基本的にはシンプルなダンスPVですが、同じ動きの反復やカメラの切り替えや速度変更で、反復を基本とするテクノのサウンドとビートに映像を合わせています。これほどシンプルな作りで、これほどテクノに合う映像が作れるのかと驚かされました。


すっかり人気Pの仲間入りをしたしちやんPのこの作品は、黒い背景の上を極彩色の幾何学紋様が散乱するというサイケデリックなものになっています。アイマスである必然性はもはやほとんどない気はしますが、とても綺麗でした。


かりふらPのこの作品は、黒い背景に千早の顔のアップが続くというシンプルな作りになっています。しかし、リップシンク、顔の配置の左右真ん中の割り振りやカメラの引き具合、動く場面と動かない場面の配分など、シンプルながら丁寧に作られています。この動画で使われている許哲珮の「汽球」という曲が非常に良い曲です。最後後ろ向きになった白黒の千早の姿に色が戻った瞬間終わるというのも、仄かな希望を感じさせる終わり方で非常に洒落ています。


しょじょんPのこの作品は、キャラクターがぴょんぴょん飛び跳ねている動きだけを使ったミニマルな作品です。音もミニマルなので音と映像が良く合っていました。


ぐっさんPのこの作品も、雪歩のかわいらしい動きをひたすら反復するミニマルな作品で、ミニマルな音と良く合っていました。


柏城Pのこの作品は、デザイン的な画面構成とオブジェクトの動きで見せるデザイン性の高い作品でした。


ekaoPのこの作品は、CMで使われてもおかしくないくらい高品質でデザイン性の高い作品でした。


とにせんPのこの作品は、ニコマス動画はラルクの「浸食」のグランジ的な荒々しさを上手く映像で表現している作品だと思います。画面を揺らしたり、早回しをしたり、色を変化させたり、画面を重ねたりと色々な手法を駆使して盛り上げていました。


MOONDOGPのこの作品は、現代音楽に合わせて、大胆なカット割やカメラ移動、色調で魅せる動画でした。


少年Pのこの作品は、黒を基調としたシンプルな画面で黒い衣装の真を踊らせるという作品です。穏やかな曲に合わせ、画面を極力シンプルに、構図もシンプル、キャラクターの位置も余り動かさないというシンプルさに徹した動画になっています。しかしシンプルさに徹したからこそ、クライマックスの場面が盛り上がるという、非常に丁寧で計算された作りの作品になっていると思います。


itachiPと言えばシンクロということで、この動画は素晴らしいダンスシンクロ動画になっています。とにかくシンクロが気持ち良いの一言です。


慈風Pのこの作品は、さすが頂点Pという映像美の作品になっています。夕方少し前の眩い陽差しという絶妙のライティングや天使のような羽根の付いたキャラクターが天から舞い降りる場面など、見どころだらけの作品だと思います。


わかむらPのこの作品は、七夕革命以降のニコマスPVの総決算であり、到達点になっていると思います。この動画の圧倒的なクオリティーと圧倒的なボリュームを見ると、いったい何がわかむらPにここまでのことをさせたのかと不思議になりました。。特に美希の「To Be One」と「WOW」から千早の「Voice」、春香の「Free Free」までの盛り上がりは本当に凄いと思いました。


2009年前半を振り返ると、やはり純粋な映像を見せるPVから、物語PVへとトレンドが移った時期だったという印象があります。既に映像のクオリティーはこれ以上ないくらいのところまで上がったと言うこともあるのでしょう。数分でしかも台詞などは使わずいかに物語を表現するかという試みが行われ、物語PVに名作が多かった気がします。今後もこの傾向が続くのか分かりませんが、hscさんの「ツンデレーション」のように何か尋常でない熱い何かが籠もっている作品も少なくないので、今後も凄い作品が出てくるのだろうと期待しています。