ジョン・ラセター監督『The Incredibles』

今日は、街の中心部にあるStadt Newyork という映画館で、『Mr インクレディブル』(ドイツ語題「Die Unglaubliche」)を見てきました。実は以前に一度見ていたのですが、面白かったので、ついついもう一回見てしまいました。


この映画は、とにかく完成度が高く、非常に良くできているなと思います。この映画の活劇としての魅力は何と言っても、スーパーヒーロー達の特殊能力の見せ方にあると思いますが、各キャラクターの能力をアピールするためにどのようなシーンが必要か、それをいかに演出するかについては、プリプロの段階で、相当アイデアを出し合い、話し合ったのだろうと思います。

お母さんが、伸び縮み自在の体を使って、色々な場面に対応していく場面は、よくこれだけのバリエーションを考えたなと感心しました。また、お母さんがボートのかたちになり、弟がスクリュー代わりをするとか、お姉ちゃんの防御壁と、弟の超高速走りの合体など、各キャラクターが能力を補い合うところなどは、単なる活劇としての面白さだけでなく、家族が力を合わせるという、家族愛の表現にもなっているので、うまいと思いました。


この映画は、全てコンピューターアニメーションによって作られています。従来のセルアニメとコンピューターアニメーションの最大の違いは、カメラの動きの自由度にあるのですが、この映画ではカメラ移動の自由度を最大限に使って、豪快で、速度感のあるカメラワークをしていました。

特にコンピューターアニメのカメラワークの魅力が出ていたのが、弟が島を超高速で疾走する場面です。もの凄いスピードで、縦横無尽に走りまくる弟の姿を、前から後ろから上空からとカメラが追っかける場面のスピード感は、セルアニメでも、またCG によってアニメに接近している実写映画でも表現不可能なものです。個人的には、CG アニメの動きそのものには、微妙に違和感を感じるので、余り好きではないのですが、カメラ移動の自由さは、CD アニメーションの大きな魅力だと、この映画を観て思いました。

あと、氷使いが、自分で作った氷の上を、超スピードで滑りまくる時の動きも、もの凄い疾走感で気持ちが良かったです。


ストーリー的には、実は結構やばいというか、ヨーロッパ人は余り同意できないような、超大国アメリカならではという解釈ができなくもないところがありますが、基本的には家族愛と、自分の力を信じることの大切さを謳うということで、深読みをしようとしなければ、大人から子供まで安心して楽しめる、超優良娯楽作品になっていると思います。

でも、こういう見た後に、留保なしに、「ああ、滅茶苦茶面白かった〜」と、爽快な気分で映画館を出れる作品というのは、貴重だなと思います。


Mr.インクレディブル [DVD]

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