未成年に対するヒップホップCD発売禁止

現在ドイツ語ヒップホップの歌詞が問題となり、ドイツ人ラッパーが批判を受けるという出来事が起きています。

Die Bundesprüfstelle für jugendgefährdete Medien(青少年有害メディア検査課)によれば、ヒップホップの歌詞で、ますます女性への暴力が賛美されてきているという警告を行っています。そのため、ベルリンのラッパーKing Orgasmus One Bass Sultan Hengzt のCDを未成年に販売することが禁止されました。

また、ベルリンの人気ラッパーSido ジーの歌詞で、子供に対する性的暴力が賛美されているという指摘も出ているようです。


このニュースを読んで私が思ったのは、不謹慎かもしれませんが、やっぱり現在、不良性や反社会性を持っている音楽は、ロックではなく、ヒップホップなんだということです。つまり、セックス・ドラッグ・ロックンロールという時代はとっくの昔に去り、すでにセックス・ドラッグ・ヒップホップの時代になったのだろうということです。

今回の措置は、女性や子供への暴力の賛美という、どう考えても、肯定しようのない歌詞を対象にしたものですが(私は当該の歌詞を読んでいないので、検査課の主張にどの程度の正当性があるのかは判断できませんが)、お上に、青少年の教育上大変よろしくないとお墨付きをもらうような反社会的なことを堂々と主張するという文化は、ヒップホップ以外の音楽ジャンルには、もう無いような気がします。

アンダーグラウンドでひっそりやばいことを歌っているロックバンドは山ほどあるのでしょうが、メジャーシーンでとなると、私には思い浮かびません。もちろん、私が無知なだけかもしれませんが。

私は不良性や反社会性を音楽に求めていないので、このような文化を肯定する気は全くありませんが、若者だったら、このような不良性に引きつけられるのは自然だろうとは思います。

現在若者の音楽、あるいは現在進行形で発展している音楽としては、ヒップホップが突出していると思いますが、そのアクチュアリティーは、このようなしょーもないことでも平気で言えてしまうという、ヒップホップの言説文化と不可分のものなのだろうと、私には思われます。