ヨーロッパのネットユーザーの音楽生活

ドイツやヨーロッパのネットやコンピューターの音楽市場への影響は、全然追いかけ切れていないのですが、面白いニュースがあったので、一つご紹介します。


Berlecon Research という市場調査会社のアンケート調査によれば、ヨーロッパのインターネットユーザーの69パーセントは、音楽の録音再生にコンピューターを使っており、回答者の40%は主にMP3 を使っているとのことです。音楽ファイルは、大部分がCD のリッピングによって作られたもので、インターネットを通じて手に入れたファイルはまだ主流ではないとのことです。

また、ITunes などのインターネットを通じた音楽販売サービスの顧客のほとんどは、利用制限やDRM著作権保護のためのコピーやCDへの焼き付けの制限)について良く知らないという事です。

調査会社のアナリストは、顧客はデジタル音楽をCDに焼き、交換し、色々な機器で利用したがっており、もし技術的な方法によってこれができない場合、混乱し、怒ると指摘しています。そのため、売り手が、客にもっと情報をきちんと知らせることが、顧客の満足度を高めるために必要だと指摘しています。

また、利用者の69%がインターネットで新しい音楽を見つけ、その後そのアーティストのCD を買ったことがあるそうです。また、16%の人は、そのアーティストの音楽を、インターネットのオンライン・ミュージック・ストアで買ったそうです。そのため、インターネットは、ミュージシャンやレーベルのマーケティング活動に適したメディアであると結論付けています。

また、40歳以上の年齢層は、デジタル音楽やCD にお金を使う準備が出来ているので、若者だけでなく、より年齢が上のインターネットユーザーもターゲットにした方が良いとアドバイスをしています。


インターネットとコンピューターが、音楽市場にとって良い影響を与えるのかどうかは別にして、すでに音楽市場は、テクノロジーの発達に対応せざるを得ない状況に、ずいぶんと前から追い込まれています。そして、一方で違法ダウンロードを法的、技術措置により撲滅しようとする一方、新しいサービスを生み出してきました。

日本ではまだITunens も始まっていないなど(もうすぐ上陸らしいですが)、音楽のネット配信は非常に遅れています。個人的には、これは非常にもったいないことだと思っているのですが、それは日本がネットを通じた音楽配信に最も適した国だと思うからです。

ヨーロッパでは、すでにITunes など複数のネット音楽販売サービスがあり、急速に販売数を伸ばしています。ただ、ヨーロッパは、全般的に日本よりも回線速度が遅く、ようやくDSL が普及し始めたところで、まだブロードバンドや使いっぱなしサービスが主流になるところまで来ていません。少なくとも、ドイツはそうです。

にもかかわらず、ネットでの音楽販売数が増えているというのは、これらのサービスが魅力的である証拠だろうと思います。

一方で、日本は、すでにブロードバンドが当たり前になり、世界屈指の高品質回線が、日本中に張り巡らされています。つまり、ヨーロッパがまだインフラ整備の途中であるのに対し、日本ではインフラ整備はすでに終わり、ダウンロード販売が非常にやりやすい状態にあるということです。

にもかかわらず、既存のネット販売サイトは、変える曲の少なさ、値段の高さ、あるいはDRM の重さから来る不便さと、全く売れる見込みのないものばかりです。個人的には、日本のレコード会社は、せっかくのビジネスチャンスをみすみす無駄にしているように見えます。

私は、まだCD より品質が劣るファイルにお金を出すことに心理的抵抗があるし、ダウンロードが失敗する可能性があるので、余りネットでMP3 などを買いたいとは思っていないのですが、たとえばシングルなど、CD を買うほどではないけれど、結構良いと思った曲を買うときは、音が悪い代わりに単価の安いダウンロードファイルを買っても良いなと思います。

とは言いつつ、私もすでに日頃は、CD からリッピングしたMP3 ファイルをハードディスクにため込み、パソコン、あるいはMP3 再生可能なCD プレイヤーで音楽を聴くことの方が多いです。私はまだCD も良く聴くので、I-Pod などはまだ買っていませんが、いずれはやはり買うことになるでしょう。また、今後もっと回線が早くなり、CD と同等、あるいはそれ以上の品質のファイルがダウンロード販売されるようになるならば、もうCD は必要ないなとも思います。

ネットで新譜を試聴し、気に入った音楽ファイルをダウンロード購入し、購入したファイルをDVD-ROM に焼いてバックアップしジャケや歌詞カードはJpeg 画像で見て、外で聴きたいときは、ハードディスク内蔵プレイヤー使うというのは、わりと近い未来の音楽生活かもしれません。