ヨーロッパ外からのCD輸入は禁止

日本でも昨年輸入権が成立しました。現在のところは、輸入権を濫用する動きは見られていないようですが、今後の運用がどうなるかはまだ不透明であり、引き続き注意が必要となります。

さて、一方のドイツでは、こちらでは、(おそらく)輸入権に基づき、インターネット上のCD ショップのヨーロッパ外からの輸入盤が発売禁止になるというニュースが入ってきました。

今回対象になったのは、CD-Wow というオンラインCD ショップで、この店では、アジアから輸入した安価なCD を販売していたそうです。しかし、ヨーロッパ外の国からCD を平行輸入することは、著作権で禁じられているので、今後CD-Wow は、ヨーロッパ外の国から並行輸入したCD を販売することは禁じられると言うことです。

私はドイツの著作権についての知識がないので、なんともコメントできないのですが、おそらくこれは輸入権をちらつかして、販売会社に自粛を求めたと言うことだと思います。ヨーロッパ域内は、もちろん音楽製品の輸出入も自由ですが、それ以外の地域に関しては、音楽著作物の頒布権die Verbreitungsrechte für Musikaufnahmen が個別に獲得されねばならないと言うことです。これも、法に疎い私には良く分からないのですが、とにかく地域ごとに輸入条件が違うと言うことだろうと思います。


さて、日本で恐れられていたようなことが、ドイツでは実際に起こりました。もちろん、ドイツには、日本のような再販制度はなく、価格設定は自由で、安売りもどんどん行われているので条件は同じではありませんが、ヨーロッパのレコード会社の基本的な対応策は、日本と良く似ていると言うことが言えると思います。

日本では、主にネットを中心とした消費者の根強い反発により、CCCD はほとんど姿を消したようですが、ドイツでは有名アーティストのCD のかなりの部分は、未だにCCCD で発売されています。消費者の意志表示がはっきりしていると言われるヨーロッパですが、少なくともドイツで、CCCD に対する反対運動が起こったという話は、少なくとも私は聞いたことがありません。

忙しくてお伝えしていませんでしたが、昨年主にドイツのバンドの活躍により、ようやく売り上げ低下が下げ止まり、今年冒頭には前年比で上昇へ転じているなど、一時期は、ドイツの音楽市場はようやく回復傾向に乗ったと思われていました。しかし、先日、4月、5月の売り上げが急落し、通年でも再びマイナス成長になるかもしれないというニュースが伝えられました。今回のニュースはその直後だったために、少々穿った見方で見たくなるのも正直なところです。また、Google-News を見る限りでは、このニュースを伝えているのは、PC 系サイトだけで、一般ニュースサイトでは扱われていないというのも、なんとなく嫌な感じです。

レコード会社も、さらにドイツのアーティストに力を入れたり、CD とDVD の両面ディスクを開発するなど、手をこまねいているわけではないようですし、DVD の売り上げは今年の四半期で記録的売り上げになるなど着実に伸びていし、ダウンロード販売や着メロの売り上げも着実に伸びるなど(そういえば、ヨーロッパでは現在Crasy Frog という着メロのキャラが歌ったCD が大ヒットしているところです)、成長市場も存在しています。

ただ、それらの方策は、まだメインのCD 販売の落ち込みをカバーするほどではないので、今はレコード会社としても、大きな転換前の狭間の時期という感じで、我慢のしどころなのでしょう。