Radical Chicks

アメリカを代表する超人気カントリーグループDixie Chicksのニューアルバム『Taking the Long Way』が発売されました。それに合わせてでしょうが、TimeがChicks の特集を組むそうです。しかし、そのタイトルが、なんと「Radical Chicks」というのです。どうも、Dixie Chicks の政治面にスポットを当てて、特集を組んでいるようです。

Dixie Chicksは、イラク戦争の最中、公然とブッシュ大統領を批判したおかげで、クリアチャンネル系列のラジオ局で曲を掛けてもらえなくなったり、CDを燃やされたりしました。彼女達にとっては、この時の経験は、かなり深い傷になっているようで、リードシングルの「Not Ready To Make Nice」で、この経験のことを歌にしています。

もう何年も前の話なので、未だに後を引いているというのは、なかなか信じがたいのですが、この問題、Chicks 本人たちが恨んでいるというだけでないことは、今度のTIMEで特集を組まれることからしても想像が付きます。

ある英語のブログを読んでいたところ、Chicks に対するラジオ局の反応について、コメント覧で論争が行われていました。考えてみれば、ラジオ局の放送禁止は、アーティストの思想、信仰の自由と、営利企業であるメディアの放送禁止の自由、メディアの一極集中の弊害など、社会全体の思想、信仰の自由と、密接に関わる問題なのでした。

コメント覧で、ハワード・スターンのラジオ番組も、クリアチャンネル系ラジオ局で流れないということが指摘されていましたが、9.11 後のメディア状況と、Dixie Chicksの曲の放送禁止の問題は、非常に密接に関わっていたのでした。となると、やはり、特にリベラルの側にとっては、今でも過去の問題として、あっさり忘れてしまうわけにはいかないということになるのでしょう。

しかし、政治的な部分はともかく、音楽的な面では、間違いなく充実した内容のものができあがっていると思いますので、ニューアルバムを聴けるのを楽しみにしています。