『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』

久しぶりに見てしまいました。このアニメーション作品は、『ミスター味ッ子』や『機動武闘伝Gガンダム』などで名高い今川泰宏監督による、言わずと知れた名作OVA シリーズです。この作品は、やたらと謎だらけなストーリーで、観客の関心を引きまくり、強烈極まりないキャラクターによるデタラメなまでに超絶的なアクションで、観客の度肝を抜くという、ロボット戦闘ものです。正直、脚本は穴だらけで、見るとツッコミを入れたくなることは不可避なのですが、ストーリーやテーマが全くどうでも良くなるぐらいのキャラクターの立ち方と、アクションシーンによって、ちょっと他には見られないような面白い作品になっています。

この作品は、物語の構造やテーマ、作品の完成度は低く、脚本、キャラクター、演出がそれらを表現するための手段ではなく、むしろ自己目的化されている作品です。受け手を面白がらせる演出やキャラクター、ストーリー展開のみが肥大的に発達し、洗練されているので、その意味で『ドラゴン・ボール』のような少年漫画メソッドに忠実に作られていると言えると思います。また、このアニメーションは、演出やキャラクターが極めて過剰であり、過剰な描写が自己目的化されているという意味で、石川賢板垣恵介山口貴由のような漫画家の作品と共通する魅力を備えているように思います。