八木教弘『CLAYMORE』12巻

テレビアニメが始まったばかりの『クレイモア』の最新刊である12巻を読みました。今回は、南の深淵ルシエラとその妹ラファエラの話と、北の地での戦いから7年後が描かれています。前巻で話が一段落し、第二部が始まったばかりという感じなので、今後が楽しみです。

クレイモア』は、基本的にはストーリーやテーマよりも、多彩なキャラクターによる戦いを楽しむという、戦闘ものの少年漫画です。しかし、キャラクターのほとんどが感情を出さず、無表情、なおかつ絵も神経質なまでに極細の描線で描かれているということで、この作品には、戦闘漫画特有の暑苦しさとは無縁の、冷たい雰囲気が漂っています。また、主要登場人物でも容赦なく死んでいく酷薄さがあるので、なかなか展開が読めず、緊張感をもって読むことができます。

おそらく作者の方は、ファンタジー作品のエルフのような、人間らしい生々しさがなく、肉感的でない女性キャラクターを沢山描きたくて、この作品の設定を考えたのでしょう。この漫画の表紙には、毎回漫画とは全く関係ない女性キャラクターが描かれていますが、ここからも、作者の肉感的でない女性キャラクターに対する執着が感じられます。

その意味では、この作品の駆動原理は、フェティシズムだと言えますが、そのフェティシズムはあくまで抑制の効いたものです。そのような静かな欲望の発露と少年漫画パターンが邂逅したこの作品は、かなり独特の雰囲気と面白さを備えていると思います。


CLAYMORE 12 (ジャンプコミックス)

CLAYMORE 12 (ジャンプコミックス)