漫画

伊藤剛さんによる「キャラ」と「キャラクター」

既にキャラクター分析の古典としての地位を確立している伊藤剛さんの『テヅカ・イズ・デッド』(NTT出版、2005年) ですが、初音ミクのキャラクター的側面を捉えるためには、井手口さんが利用していた東浩紀さんのデータベース理論と共に、参照することが必要…

萩尾望都『残酷な神が支配する』

萩尾望都の『残酷な神が支配する』の文庫版の最終巻を読みました。前の部分をずいぶん前に読んだので、大分話を忘れています。ジェルミとイアンは互いに惹かれ合い、愛し合うと同時に、その愛故に苦しみもします。この物語では、ジェルミの苦しみは何らかの…

王下七武海蛇姫様の「私のすべて」

連載10年目にして、連載始まって以来最大の盛り上がりを見せている『One Piece』ですが、今週発売の「週刊少年ジャンプ」で王下七武海最後の一人蛇姫様こと海賊女帝ボア・ハンコックが登場しました。麦わらの一味が離散し、しばらくは大状況とは関係ない話が…

雷句誠 『金色のガッシュ!!』

別の部分で最近の漫画界の話題を独り占めしている雷句誠ですが、彼の初の長編連載漫画『金色のガッシュ!!』が完結しました。単行本前33巻で、目立ったストーリーの破綻や中だるみもなく完結させたその構成力は、非常に高く評価されてしかるべきでしょう。…

植芝理一 『夢使い』

植芝理一の『夢使い』を読みました。この作品は、夢使いという呪術師が、怪異と戦うという内容です。第一部の「虹の卵」編は、中学校で起こった連続想像妊娠事件を扱った話です。ある少年に誘惑された少女たちが、性的快楽によって虜にされ、古代の神を復活…

富樫は案外さぼってなかったのかも

長期休載からまさかの復活を遂げ、その後も休載を繰り返している冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』ですが、先の予想が全く出来ない展開には、かなりワクワクさせられます。この圧倒的な引きの強さは、他の漫画の追随を許さず、ジャンプ王道の少年漫画を描かせて富…

柴田ヨクサルインタビュー

「Webだよ。」に『ハチワンダイバー』の作者柴田ヨクサルさんのインタビューが載っていました。 # そういった意味じゃ菅田も頑張っていますけど、よく負けますよね。でもまた這い上がろうとする。そういった彼の成長物語的なところがあるんですか?やっぱり…

古田靖 『瀬川晶司はなぜプロ棋士になれたのか』

『ハチワンダイバー』の副読本として、古田靖氏の『瀬川昌司はなぜプロ棋士になれたのか』を読んでみました。この本は、奨励会3段まで上がりながらプロになれなかった瀬川晶司さんが、特例としてプロ入りが認められるまでの過程を描いたルポルタージュです…

藤田和日郎『からくりサーカス』

藤田和日郎の大長編少年漫画『からくりサーカス』を読破しました。全43巻の大ボリュームと言うことで、読み応え抜群で大満足でした。この作品は、最初から最後まで恐ろしく複雑な伏線が張りまくられており、しかもそれらの伏線をことごとく解消して完結し…

こうの史代『長い道』双葉社、2005年

『夕凪の街 桜の国』で世の漫画読みを平伏させた当代一の気鋭の漫画家こうの史代の『長い道』を読みました。この作品は、3頁から4頁という短い頁による連作です。設定はかなり荒唐無稽です。この作品はある夫婦を描いた作品ですが、彼らは酔っぱらった親同…

若杉公徳『デトロイト・メタル・シティー4』

『DMC』最新刊の4巻を読みました。前の巻からサタニック・エンペラー・フェスティバルでのトーナメントバトルが繰り広げられており、本巻でサタニック・エンペラー編が完結しました。少年漫画のトーナメントはその漫画のクライマックスを意味しているので、…

木城ゆきと『銃夢Last Order』

1990年から95年にかけて連載されたサイバーパンク漫画『銃夢』の続編『銃夢Last Order』を読みました。木城ゆきとは、一時期絵がボロボロになっていたので、もう力尽き終わってしまったのかと思っていたのですが、『銃夢Last Order』はかつての『銃夢…

矢沢あい『NANA』18

ここしばらく巻頭には数年後の様子が描かれており、将来ブラストが解散し、ナナが失踪することが既に明らかになっています。そのため、未来はすでに決まっており、その定められたカタストロフに向かって話が進んでいることが、読者に提示されています。何故…

二ノ宮知子『のだめカンタービレ』#18

相変わらず色々なキャラクターに焦点が当たっているため、話がなかなか進まなくなっています。この巻では、千明との別居とリサイタル程度しかのだめの動きは描かれておらず、むしろ孫Rui がメインになっています。幼い頃から活躍している天才ピアニストの音…

富樫義博『HUNTER×HUNTER』No.24

長い間休載されもう駄目だろうと思っていたら復活した『HUNTER×HUNTER』ですが、毎週圧倒的な引きの強さで次週を楽しみにさせる、少年漫画の王道を行く漫画になっていると思います。この24巻も、話は決戦前夜の細々した話の連続という感じで余り進みません…

日本の漫画家数

呉智英が、日本の漫画について書いた文章の中で、日本の漫画の市場規模と漫画家の数を挙げていました。 マンガの一年間の売上げは、1990年代を通じておおむね6000億円であり、その内訳は、マンガ雑誌3500億円、単行本2500億円である。一般の雑誌や新聞にもマ…

日本的少女マンガを描くアニケ・ハーゲ

Spiegel でAnike Hage というドイツ女性が描いた『Gothic Sports』という学園スポーツものの少女マンガが紹介されていました。 Spiegel Online: "Gothic Sports" この方は、すでに日本のWikipedia でも紹介されていました。 Wikipedia: アニケ・ハーゲ また…

コミティア81

秋葉原に行った後は、東京ビッグサイトで行われたコミティアという同人誌イベントに行って来ました。コミティアとは、コミケなどの二次創作を中心とした同人誌イベントとは異なり、オリジナルの作品のみを扱ったイベントです。ビッグサイトは、埋め立て地の…

許斐剛 『テニスの王子様』

「週間少年ジャンプ」で長期連載している人気漫画『テニスの王子様』をついに全巻読破しました。この漫画は、男前(?)の登場人物が多数登場し、多数の女性ファンを抱えていると言われている漫画でした。作者の絵が余り上手くないこともあり、私はずっと注目し…

八木教弘『CLAYMORE』12巻

テレビアニメが始まったばかりの『クレイモア』の最新刊である12巻を読みました。今回は、南の深淵ルシエラとその妹ラファエラの話と、北の地での戦いから7年後が描かれています。前巻で話が一段落し、第二部が始まったばかりという感じなので、今後が楽…

矢沢あい『NANA』

映画も二作作られた超人気少女漫画です。内容は、モテ系の女の子小松奈々とパンクバンドのヴォーカルのナナと、その周辺の人々が、悲喜こもごもの人間関係を繰り広げるというものです。基本的には、ナナの所属するブラストというバンドと、ナナの彼氏がギタ…

安野モヨコ『ハッピー・マニア』

ハッピー・マニア (3) (祥伝社コミック文庫)作者: 安野モヨコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2001/09/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (17件) を見る安野モヨコの有名な漫画『ハッピー・マニア』を今更ながら、途中まで読み…

羽海野チカ『ハチミツとクローバー』

言わずと知れた大人気少女漫画を読みました。この作品は、上手く行かない恋愛もの×自分探し・青春ものという感じの作品でした。中盤までは、ミニマルな日常と、進展しない恋愛が主に描かれ、後半では、自分探しと少年少女から大人への成長が描かれます。この…

巨星墜つ

漫画家の石川賢氏死去 「ゲッターロボ」「魔獣戦線」描いた作品のほとんどは未完、想像を絶する巨大な風呂敷を広げ、読者を置き去りにして、訳が分からないままいきなり尻切れトンボで作品を終わらすことで名高い石川賢氏が亡くなってしまったそうです。やっ…

ドイツにおける日本マンガ市場の実態

ジェトロのサイトで、「ドイツにおける日本マンガ市場の実態(輸出促進調査シリーズ)」というレポートが出されていました。このレポートによれば、ドイツのマンガ市場はまともなデータがないので分からないが、7000万ユーロ(約100億円)くらいで、…

漫☆画太郎先生のインタビュー

日本が世界に誇る、天才ギャグ漫画家である漫☆画太郎先生のインタビューをたまたまネットで見つけました。インタビューでも、言っていることのどこまでが本当で、どこまでがネタなのか良く分からないところが凄いです。先生が、名作『珍遊記』の裏側について…

フランスの層の厚いマンガ文化

先週までフランスを旅行していました。はじめてのフランスということで、色々と興味深かったです。旅の様子は、後日書くとして、今日はフランスのマンガについて書いてみようかと思います。私はフランス語は読めませんが、それでも幾つか書店に入って、店を…