日本の漫画家数

呉智英が、日本の漫画について書いた文章の中で、日本の漫画の市場規模と漫画家の数を挙げていました。

マンガの一年間の売上げは、1990年代を通じておおむね6000億円であり、その内訳は、マンガ雑誌3500億円、単行本2500億円である。一般の雑誌や新聞にもマンガは掲載されているが、この数字にそれは含まない。全出版物(新聞を除く雑誌・書籍)の年間総売上げが2兆5000億円だから、その四分の一をマンガが占めていることになる。
(中略)

日本のマンガ家の数は3000人ほどいると推定できる。彼らは出版社から1冊は単行本を出している人である。しかし、その大多数は大作家のアシスタントをしたり、副業を持ったりしている。マンガの収入だけで平均的市民以上の生活ができる人は総数の1割である300人ほどである。この他にアマチュア作家がいて彼らは同人誌を出している。

マンガの国日本1_1


漫画というと、美術と違い漫画家予備軍が多く、裾野が広いので、漫画家数も多いのかと思いきや、漫画で人並みに稼げる人の数は、値の付く美術家の数と同程度の300人程度だそうです。

人並みに稼げるとはいっても、漫画家は入れ替わりが激しく、何十年も生き残れる漫画家はほとんどいないため、人並みに稼げる漫画家の中大半は、それほど長期間収入を保つことはできないのではないでしょうか。

それを考えると、漫画家というのは、競争が激烈なわりには、報われるところの少ない、夢のない職業のように思えますね。