矢沢あい『NANA』18
ここしばらく巻頭には数年後の様子が描かれており、将来ブラストが解散し、ナナが失踪することが既に明らかになっています。そのため、未来はすでに決まっており、その定められたカタストロフに向かって話が進んでいることが、読者に提示されています。何故このような変則的な展開を採っているのはまだ分かりませんが、そのうちその理由は分かるのでしょうか。
『NANA』も長期連載ものの例にもれず、様々なキャラクターの数が増え、テーマや話の筋が拡散し、焦点が合わなくなってきています。おそらく元々はハチとナナの関係を描くための話だったと思うのですが、ここしばらくは芸能界もののような展開になっており、恋愛関係も錯綜しきっているので、ますますハチとナナの関係性は薄くなり、話は混迷しているように見えます。
しかし、とりあえず色々なことが起こっているので、漫画としては面白いです。これで問題はないのでしょう。
巻末には、トラネスのタクミの過去を描いた中編が入っていますが、女性にだらしないところや冷たいところがきっちり描かれていて、結構生々しい人物造形になっています。本編共々かなり嫌な部分もあるキャラクターとして描かれていますが、人気はあるのでしょうか。
- 作者: 矢沢あい
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: ペーパーバック
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