コミティア81

秋葉原に行った後は、東京ビッグサイトで行われたコミティアという同人誌イベントに行って来ました。コミティアとは、コミケなどの二次創作を中心とした同人誌イベントとは異なり、オリジナルの作品のみを扱ったイベントです。

ビッグサイトは、埋め立て地の上にあるのですが、とにかく中心部から遠く、もの凄く不便なところにありました。ビッグサイト近辺は、近未来的なデザインのビルが建ち並んでおり、非常にサイバーシティーな雰囲気でした。幕張などもそうですが、何故埋め立てチックな人工都市はこのようにサイバー空間になってしまうのでしょうか。

ビッグサイトは巨大なメッセで、同時に数多くの催しがやっています。この日は同時にコミック・シティーという同人誌イベントが開催されており、私は最初そのイベントとコミティアを間違え、コミック・シティーのカタログを買ってしまいました。私は、余り時間もないので、コミック・シティーは全く見ずにコミティアに向かいました。

コミティアも、広い空間一杯に机が並べられており、非常に沢山人が来ていました。カタログはすでに売り切れていたのですが、余りにも出展者が多いので、私はどこから見て良いのか途方に暮れました。

とりあえず、適当に歩き回りざっと全体の状況を見渡したのですが、オリジナルにもかかわらず、やはり流行の萌え系の絵柄が多かったことが印象的でした。他には、ゴシック・ロリータをテーマにした同人誌やイラストも結構多かったように思いました。全体的には、絵のレベルはかなり高く、出展者の多くが素人であるにもかかわらず、下手と言えるような出展者はそれほど多くなかったと思います。そのため、絵の技術レベルは、年々上昇傾向にあると思いました。

ネットでも、プロと遜色がないようなイラストを描くアマチュアは珍しくないので、日本の漫画絵やイラストのレベルは本当に高いと思います。これだけの分厚い層があるので、ここで突出する人は、激烈な競争に勝ち抜いた猛者ということになるのだろうと思いました。

ただ他方で、ほとんどの作品の絵柄は、レベルは高いが類型的であり、オリジナリティーがある絵柄やエッジの立った絵柄は、余り見受けられませんでした。オリジナル専門のイベントということで、もっと無茶苦茶なものや既存の漫画の文脈から外れたものなどもあるのではないかと期待していたのですが、そのようなものは余り見られませんでした。

イベント会場を歩いて思ったのは、かなり作品を手に取りづらい事です。作者がそこに座っているので、手にとって見た後、買わずに戻すのは結構気まずく、少し申し訳ない気分になります。そのため、少しくらい関心があっても、なかなか見本を手に取り中味を見る気分にならないというところはあります。

では、注目を集めるにはどうしたら良いかというと、これは絵しかありません。漫画はネームが命な訳ですが、ネームは読まないと良さが分からないので、先ず最初に、絵でお客さんの注目を引き付けて、本や商品を手に取らせる必要があります。そのため、漫画としては面白いが、絵は余り上手くないという人の作品は、このような状況では非常に厳しいと思いました。

しかし、アマチュアが出展するイベントですが、恐ろしいほど自分の作品の市場価値が明らかになると言うことで、出展者に非常に厳しく評価が突きつけられる場所であると思いました。ただ、それは、漫画としての価値と言うよりは、イラストとしての価値なので、面白い漫画を求めている人間にとっては、利用の仕方が難しいイベントだと思いました。