ギャラリー杜間道 「青木画廊と内外幻想レアリズム展」

仙台メディアテークの隣にあるギャラリー杜間道で「青木画廊と内外幻想レアリズム展」がやっていたので、見に行ってきました。幻想系画家を扱う東京の青木画廊の作家を集めた展覧会ということで、シュールで非現実的な絵画が並んでいました。今回の展覧会で展示されていた作品は、市川伸彦/大竹茂夫/七戸優/高松潤一郎/建石修志/山本じん/渡辺高士/J・シュマイサー/H・セリエント/H・ヤンセンの作品でした。

個人的にインパクトがあったのは、七戸優さんの作品です。七戸さんの作品の凄さは、先ずそのテクスチャーにあります。七戸さんの作品は、もの凄く細く短い線によって塗り重ねられています。余りにも線が細く細かいのでどうやって線を引いているだろうと思ったら、拡大鏡を使うこともあるそうです。フェルトの表面のようなケバだった超細密テクスチャーは非常に独特でした。また、少女の黒髪に引かれたハイライトの白い線も、非常に細いながらブレがない見事なものでした。印刷だとこのようなディテールは絶対に分からないので、見たことがない方は、ぜひ一度本物を見ることをお薦めします。

少年の絵と、少女の絵があったのですが、造形的には、描いている個々の対象自体はそれほど非現実的ではないけれども、キャラクターの表情やポーズ、舞台装置、小道具などが合わさり、シュールになっているという感じでした。女の子の絵は、『オイシャサンゴッコ』で使われていた、少女が黒と白のクラシックな看護婦の服を着た絵だったのですが、少女の無表情さと端正な佇まいが、見た者の理解と感情移入を寄せ付けない感じで良かったです。

また、市川伸彦さんの作品は、ヒエロニムス・ボッスを思い起こさせるような茶目っ気のある変な怪物が沢山出てくるもので、ボッス好きにはたまらないものでした。また、絵の描き込みが非常に緻密でした。

全体的に展示されていた作品は、具象絵画、あるいはサイズの小さな作品が多かったと言うこともあってか、細部まで丁寧に描き込まれたクラフトマンシップにあふれた作品ばかりでした。20世紀初めのシュールレアリストたちの作品は、余り描き込まれいなかったり、塗りが丁寧ではない場合も多いので、現代の幻想絵画の作家はずいぶんきちんと丁寧な仕事をしていると思いました。