Anarchy in the JP 東京メトロちゃん
東京メトロちゃんという地下アイドルがいるそうで、Gyao の「勝ち抜きアイドル天国」の映像を見て驚愕しました。東京メトロちゃんはお笑い芸人の女性が、赤い眼鏡をかけ、ナース服に身を包み、注射器にみたてた布の棒を持ち、ファンの男性を棒でぶん殴るというアイドルです。前にYou Tube で秋葉原の路上でパフォーマンスをする動画を見たときにはそれほどインパクトを感じなかったのですが、テレビ番組であのパフォーマンスをしていると、もの凄い異化作用が生じるようで、衝撃を受けました。
東京メトロちゃんは、顔もかわいくないし、歌もうまくない代わりに、インパクトだけはやたらとあるという色物アイドルなのですが、いかにもアニソンという感じの安っぽい歌を歌いながら、もの凄い勢いでヲタ芸を打つファンたちを、棒でボコボコぶん殴り、蹴り飛ばし、ブン投げている様は、余りに痛々しく、見ていていたたまれないきもちになるというか、ドン引きしました。
私がこのパフォーマンスを見て思ったのは、多分セックス・ピストルズが出てきた当初に彼らのライヴを見た大人は、こんな感じを受けたのだろうと言うことです。つまり自分たちがそれまで見たことがなく、理解することができないものが登場したときの戸惑いや嫌悪感のようなものです。
東京メトロちゃんのパフォーマンスを見て、パンクとアキバ系地下アイドルには共通点が多いような気がしました。
- 素人芸である。技術は必要とされないので、やろうと思えば誰でもできる。参入のハードルが異常に低い。そのため、鬱屈した気持ちを晴らしたり、手っ取り早く注目され、自己顕示欲を満足させるのに適している。
- パフォーマーに技術がないので、勢いや過激さ、ネタなどそれ以外の部分でアピールしなければならない。
- 独自の文化を持っており、その中にいる人は分かるが、外にいる人にとっては理解が難しい。外にいる人に強い嫌悪感を与える。敵視され、危険視される。
- 独自のファッションスタイルを持っている。
- 外の人間には理解不能の独自の様式で異常なほど激しく盛り上がる。パンクからはポゴやモッシュが生まれ、アイドルヲタからはヲタ芸が生まれた。
新しい文化は、マイノリティーや被差別民から生まれるというのがサブカルチャーの常ですが、現代日本最大の被差別民とも言えるオタクから、最も尖った、ヤバイ文化が生まれうるのも当然なのかも知れないですね。