ニコマスとコミュニケーション

七夕革命以降のニコマスPVの質の向上は目覚ましく、ほとんど常軌を逸していると言っても良いくらいのところまで来ていると思います。しかし、PVの質が向上するのに反比例するかのように、余りアクセス数が伸びなくなっているようです。

これは何故かと考えた場合、ニコマスが、ネタ的でなくなりすぎてしまった、普通のPV化してしまったからではないかと思います。ニコニコ動画の視聴者は、基本的に映像作品を見に来るというよりも、動画を通じたコミュニケーションをしに来ていると思います。ニコマスには多種多様な動画があるので、ネタ的な動画も沢山あると思いますが、最も人気のあるジャンルであるダンスPVがどんどん普通のPVに近づき、「すげえ」と感嘆するくらいしか突っ込み所がなくなるにつれて、コミュニケーションの媒体としての効率が下がっていき、多くの視聴者にとって見るメリットがなくなっていったのではないかと思います。

現在のニコマスでのコミュニケーションは、固有名を持つ作者であるプロデューサーたちによる共同体的なコミュニケーションであろうと思います。これは匿名的コミュニケーションを中心とするニコニコ動画の文化とは、真っ向から対立するコミュニケーション形式です。ニコマスでは共同体的なコミュニケーションが行われているため、計画的に企画運営を行うことが可能であり、27時間イベントやトカチゴールド、カクテルパーティーMSCをはじめとする大規模イベントを次々と開催することができているのだろうと思います。

その意味ではニコマスは既に、中に入れば、非常に濃密なコミュニケーションが取れるが、ニコニコ動画で中心となっている匿名的で疑似同期的なコミュニケーションを行うには余り適さないジャンルになっているのかもしれないと思います。