「サンシャイン・クリーニング」

リトル・ミス・サンシャイン』のプロデューサーチームが手掛けた『サンシャイン・クリーニング』を見ました。ミーガン・ホリーの脚本にプロデューサーが関心を持ち作ったそうです。監督はクリスティン・ジェフズ。

この映画は『リトル・ミス・サンシャイン』と同様のルーザーもので、昔はみんなに憧れられるチアリーダーだったローズが不倫するシングルマザーの掃除婦に落ちぶれている状況を、死体処理掃除の事業を始めることで何とか打開しようと言う話です。

この映画ではかつての同級生に大きな差をつけられて劣等感を感じているローズが、事業を始め、プロフェッショナルとしての自信を獲得することで、劣等感を克服していく様、妹のノラが母親の自殺した場面を見てしまったトラウマを克服していく様が描かれます。しかしこの映画では、これらの試みは余り上手く行くわけではなく、ローズは事業失敗で一からやり直し、ノラは友人に嫌われ放浪の旅に出るという結末を迎えます。

この映画の映画らしいカタルシスを感じさせる場面は、彼女達の母親が誇りに思っていたドラマでの台詞付きの演技を姉妹が偶然テレビで見る場面でしょう。この場面は、ほんのちっぽけなことでも、その人やその家族の誇りや尊厳を支えるものになるのだということを感じさせます。

この映画は、ルーザーを取り巻く厳しい現実をかなり生々しく描き出しており、映画ならではの安易な救済はほとんど行われません、だから、ルーザーな姉妹はルーザーなまま終わります。しかし、それでも作中はユーモアたっぷりの描写に笑い、見終わった後気分良く映画館を出られるようになっているエンターテイメント映画に仕上がっています。この辺りのシリアスとユーモア、シビアさと映画的筋立てのバランスは絶妙で、非常に洗練された映画に仕上がっていると感じました。