ドイツ映画の躍進

現在ポップミュージックで、ドイツ産の音楽が伸張しているということは、以前にも何度かお伝えしたことがありましたが、伸びているのは音楽だけではないようです。

報道によれば、2004年の最初の9ヶ月のドイツの劇場を訪れた観客数は1億1500万人、そのうちドイツ映画を観たのは2350万人で、ドイツ映画の市場シェアは20,7%になるそうです。この数値は、調査開始以来最高の数字のようです。(2003年は14,4%、2002年は11,8%)

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このようにドイツ映画のシェアが上がっているのは、今年はドイツで、自国の映画が大ヒットしたからです。スタートレックスターウォーズのパロディー映画『(T)raumschiff Surprise (夢)宇宙船サプライズ』が8月、ヒトラーを扱った『Der Untergang 没落』が9月に最もヒットした映画になり、コメディー映画『Der Wixxer』と合わせて1300万人を動員したそうです。

私は、これらのドイツ映画を観ていないので、面白いかどうかは判断できないのですが、ドイツでは、特にコメディーの分野で(昨年大ヒットした『Goodbye Lenin』)、ハリウッド映画に肩を並べてヒットを飛ばす娯楽大作が出てきているようです。現在上映されているコメディー『7 Zwerge - Männer allein im Wald 7人のこびと−男だけの森』も大ヒットを飛ばしているようですし、継続的に、話題作、ヒット作が出ているようです。

もっとも、ドイツ映画のシェアが上がってきたといっても、まだ2割程度なので、依然としてハリウッド大作がドイツで支配的であることは変わりません。というか、ローカル市場しか狙えない非アメリカ映画は、予算規模や技術力で絶対にハリウッド映画には敵わないので、娯楽映画の分野でハリウッド映画と競争するのは難しいです。しかし、コメディーなら、予算規模よりも、演技や脚本が遙かに重要なので、低予算でも対抗できます。そのため、ドイツ産大ヒット映画も、コメディーが多いのかも知れません。


私が少し疑問に思っているのは、ドイツ産音楽とドイツ産映画がシェアを伸ばしつつあるのは、偶然なのかどうかです。私はまだ、この二つの現象が何故起こっているのかを分析した論考をまだ見つけていないのですが、業界の自助努力の成功なのか、政府が産業・文化振興策でも取ったからなのか、消費者の嗜好の変化なのか、たまたまなのか、そのような理由は少し考えてみたいと思います。