ARABAKI Rock Fest. 06' 1日目

人生にはたまには楽しいことも必要ということで、ARABAKI Rock Fes. 06' というフェスティバルに行って来ました。このアラバキロックフェスティバルというのは、Rock in Japan やライジング・サンのような日本のアーティストによるロックフェスティバルです。

通常ロックフェスティバルは夏に行われますが、このフェスは春の連休に行われています。多分、夏だとイベントがありすぎてかぶるので、時期をずらしたのではないかと思います。

会場は、仙台から車で1時間ほどのところにあるキャンプ場です。キャンプ場ということで、水道、トイレなどのインフラも整っており、山奥でもかなり便利で、良い会場だったのではないかと思います。

今回のお目当ては、サンボマスターだったのですが、駅前から出るシャトルバスがなかなか来なかったのと、入場でかなり並んだため、全部は見れなかったのが残念でした。

サンボマスターは、Number Girl meets 青春パンクのようなバンドで、轟音にソウル色を加えるなど音的には一捻りしているにもかかわらず、メッセージは非常にストレートというバンドでした。ヴォーカルの人が、曲間や間奏などで、ずっと何か喋っていますし、轟音だけど歌詞はきちんと発音し、意味が聞き取れるようにするなど、非常に言葉に気を使っていることが印象深かったです。

歌詞に意味ががあるのかないのか分からないような、90年代の轟音バンドとの一番の違いはその辺かと思い、日本のロックにおける00年代っぽさはその辺にあるのかなと思いました。

演奏も非常にしっかりしていますし、何より気合いが凄いので、大変盛り上がっていました。

次に見たのは、堂島孝平×Hi-Tension Please! です。基本はポップスながら、時には轟音も交えるなど、幅広い音楽を良く咀嚼して、クオリティーの高いステージを見せていたと思います。演奏も、非常に工夫されており、上手かったです。今日は大変に暑く、昼間は半袖で良いほどだったのですが、湖の畔で和みながら聴いていて、非常に気持ちが良かったです。

その次は、ミーハー心を出して、サブカルアイドルとして人気を博している(らしい)木村カエラを見てきました。案外歌が上手いので驚きました。声が良く伸びて、聴いて気持ちの良い歌を歌うと思いました。「Circle」の人力ダンスミュージック感がとても気持ち良く、ドラムが上手いなと思って見ていました。録音盤より、生の方が良かったです。

お次は、Grapevine。ミドルテンポの得意な渋いロックバンドという感じで枯れてきているGrapevine ですが、バンドアンサンブルの良さは、今日聴いた他のロックバンドを圧倒するものがありました。リズム隊の渋いグルーブ感が絶品です。このバンドは、これはこれで既に完成されているような気がします。

ただ、轟音やアップテンポの曲でも、アンサンブルが鉄壁過ぎて、勢いが生じないことが、バンドにとって良いことかどうかは、良く分からないと思いました。でも、非常にカッコ良かったです。

お次は、The Boom宮沢和史。何でも、この日がGanga Zumba というバンド名を名乗っての最初のライブだったそうで。何回もバンド名の連呼を求めていました。

音楽は、ポップスから、ロックから、日本の民謡から、沖縄民謡から、ラテン音楽からと、色々な要素を取り出し、ごった煮にしたようなミクスチャー音楽です。宮沢和史は、ずいぶん長いこと色々な音楽を取り入れようと試みてきましたが、それが非常に成熟され、独特の音楽に昇華されていると思いました。

とにかく聴いていて楽しく、自然と身体が動き出すような躍動感のある音楽でした。バンドはかなりの大編成だったのですが、全体のアンサンブルも非常に見事で、大編成バンドにありがちな、無駄な音や音の統一感の無さは全くありませんでした。

でも、ラテンのリズムに乗って、盆踊りの手つきで踊れるというのは、凄いよなと思います。さすが世界を股に掛けて活躍しているバンドだけあって、スケールが非常に大きいと感じました。個人的には、文句無しでこの日のベストアクトでした。

ラストは、The ピーズを見ました。The ピーズは、非常にストレートなパンクバンドで、そのストレートさが逆にキャリアの長さを感じさせるところもありました。しかし、ベテランですが、全然枯れてないです。

全体的に、運営、演奏とも、大変結構だったのではと思います。定評のあるバンドばかり見たからというところもありますが、どのバンドも演奏が上手く、しょーもないバンドがいないというのは凄いと思いました。

しかし、一方で、その水準の高さは、ロックが既に上がりに達した音楽ジャンルだということを強く感じさせました。会場にいるのは、消費による自己表現の大変上手なおしゃれボーイズ&ガールズで、全観客に占めるうだつの上がりそうにない人の割合は、極端な低さを示していたのではないかと思います。そのような人々が好んで聴く音楽が、社会的にどのような位置を占めるかと言えば、言わずもがなでしょう。音楽社会学などで、そのような実証研究は既に行われたのでしょうか。気になるところです。

これは欧米でも同じだと思いますが、ロックは現在大衆音楽の中で最も保守的な音楽ジャンルだろうと思います。私は、保守的な音楽リスナーですので、成熟した質の高い音楽を堪能できて大変満足しました。