ARABAKI Rock Fest. 2日目

今日も性懲りもなくアラバキロックフェスティバルに行って来ました。

今日は最初に銀杏BOYZ を見ました。音楽的には、ストレートなパンクロックという感じですが、何故か演奏の勢いが尋常ではなかったです。テクニックではなく気合いや勢いやハッタリで勝負するというのは、元々のパンクロックの特徴ですので、このバンドは正しくパンクロック的に演奏していたと思います。

このバンドも、サンボマスターと良く似て、ヴォーカルが非常に説教臭く、MC が長かったです。しかし、話している内容はともかく、もの凄く必死に何かを訴えかけようとしているのはヒシヒシと伝わってきました。

銀杏BOYZ は、この夏の全てのフェスの出場を断って、アルバムを制作するそうです。何か並々ならぬ意気込みでアルバムを作るそうで、ヴォーカルの方は、もし納得するアルバムが作れなかったら自殺する、とまで言っていました。普通なら口だけだろうと思うところですが、何分演奏やMCから滲み出る本気度が半端ではないので、この人は本気で言っているのだろうと思いました。

ライヴが終わった後、ちらほら感極まっている人が見受けられるようなライヴで、やはりロックは、上手いか下手かではなく、本気かどうかで良し悪しが決まるものだと思いました。

次は、Ellegarden を見ました。Ellegarden は、ずいぶん人気があるらしく、バンドのTシャツを来ている人が非常に多かったです。このバンドは、演奏と言いメロディーと言い大変技術のあるパンクバンドで、会場は非常な盛り上がりを見せていました。

次は、ちょっとの間ですが、Sparta Locals を見ました。このバンドは、60年代のGS を轟音的に演奏するというようなバンドでした。一捻りした演奏をしている、癖のある面白いバンドでした。

次は、Ego-Wrappin' を見ました。Ego-Wrappin' は、ドイツで色々な人に聴かせて、例外なくカッコイイと、非常に高い評判を得ていたバンドです。

音楽的には、スウィングジャズや昭和歌謡をベースにしつつ、色々な音楽を混ぜたというようなミクスチャー音楽だと言えると思います。ちょっとハイソさ、そして懐かしさを醸し出しつつ、アウトプットする音楽は最新モードという感じでしょうか。

演奏技術やインテリジェンス、音楽的先進性は、前日の宮沢和史のバンドと並び、今回のフェスで私が見たバンドの中では、突出していたように思います。とにかくまあ、カッコ良かったです。個人的には、ラストの「サイコアナルシス」が、今回のロックフェスの盛り上がりのピークでした。

次に、つじあやの堂島孝平を見ました。つじあやの堂島孝平が組むのは、今回が初めてで、きっかけもアラバキロックフェスティバルだったということでした。今回のフェスのためのオリジナルソングまで作ってくれて、大変なサービス具合でした。

演奏は、つじあやのウクレレ堂島孝平のギター、もう一人サポートのキーボードの3人だけというアコースティックなものでしたが、曲、歌、演奏全て良いので、これだけでも大変充実した演奏でした。つじあやのの音楽ののんびり感と堂島孝平のポップセンスが上手く合っていて、かなり良いデュオだと思いました。また、いっしょに組んで演奏して欲しいです。

次は、向井秀徳アコースティック&エレクトリックを見ました。元Number Girl、現ZAZEN BOYS向井秀徳と言えば、現在の日本のロック界で最も注目すべき男ということで、どんなことをやるのか見に行ってきました。

今回はZAZEN BOYS ではなく、ソロと言うことでしたが、バックバンドには誰もおらず、向井がアコギを片手に弾き語っていました。しかし、フォークのように弾き語るとは言っても、歌うのがZAZEN BOYS の曲なので、歌詞もシュールで、メロディーがほとんどない部分もあるし、かなり変なフォークになっていました。とにかく客に対するサービス精神ゼロの求道的なステージでしたが、最後の曲のアジテーションの飛ばし具合など、やはり独特の面白みがあると思いました。

次は、Boom Boom Satellites を見ました。このバンドは、人力ダンスミュージックというか、ロックとダンスミュージックの間のようなことをやっていました。ビートはダンスなので、大変みんな盛り上がっていました。また、お客さんの数も非常に多かったです。

最後は、The Pillows を見ました。Pillows は、メロディアスだけど、轟音もこなせるというベテランバンドです。生で聴いてみて、演奏ももちろんですが、このバンドの良さは、曲や歌詞にあるなと思いました。

というわけで、大変ロックな二日間を過ごしてみました。これだけ色々なバンドの演奏が聴けて、二日通してたった12000円は安いと思います。日本には、優れたロックバンドが沢山いるなと思わされた二日でした。

蛇足になりますが、アラバキに限らず、ロックフェスティバルは、全般的にエコロジーなどとの関わりが深いですし、Snoozer のようなロック雑誌がアンチグローバリズムを標榜しているなど、ロック好きの若者、あるいはロックフェスティバルに来る観客の多くは*1、情報感度が一般よりも高い都市型リベラル、支持政党は民主党社民党、あるいは共産党という感じではないかと思いました。*2

私は、思っただけなので実際には知りませんが、おそらくレコード会社はかなりマーケティング用のデータを蓄積しているでしょうし、社会学者で興味を持っている人、あるいはすでに研究を行っている人もいるでしょうから、ロック雑誌の編集者の方々は、ネタに詰まったときに、ロックファンを統計的に分析するような記事を書いてみたらいかがでしょうか。主観的に盛り上がるのも、売り上げを伸ばすという意味では重要ですが、たまには自分たちを客観視することも有用だろうと思いますので。

*1:ロックとは言っても、メロコア、ハードコア、ハードロック、ヘヴィーメタルなどの諸ジャンルはまた別枠です

*2:おそらく最も多いのは、支持政党無しの無党派層だと思いますが、実際に投票行為を行う場合は、このような党に投票するのではないかという推測です。