『ローマの休日』

ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 (初回生産限定版) [DVD]

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  • 一日で恋に落ちるという非現実、あるいは軽率を、この上なくロマンティックな恋愛に見せかける詐術の素晴らしさ。これぞ映画。
  • 吊り橋効果。いっしょに騒ぎ、盛り上がること、特に口に手を差し込む場面、パーティーでのドタバタによって引き起こされる高揚感が恋愛感情へと変換される。
  • グレゴリー・ペックが、ヘップバーンの身体を触る場面をわざと頻繁に作ることで、両者の心理的距離が近いことを観客に印象づける。監督の演出は、非常に緻密。
  • 短時間で恋に落ちることに説得力を持たせるためには、恋に落ちる俳優に魅力がなければならない。観客が俳優に感じる魅力が、その俳優が演じる登場人物に、他の登場人物が恋をする、感情的な根拠になっている。
  • オードリー・ヘプバーンは、やっぱり凄い。映画女優としての存在感は別格的。冒頭の気品ある王女モードから、可愛らしい一人の女の子に戻る場面の落差などは、演技力の賜物。メジャーデビューでいきなりこれだから、当時の人は、さぞかし熱狂したことだろう。
  • 映画的な嘘を、映画内でいかに嘘臭く思わせないかという、映画の審級の制御が絶妙。非常に際どい線を狙ってきているのを見て、演出家のインテリジェンスに感服。
  • やはり、歴史的名作と呼ばれるほどの作品は、無茶苦茶良くできている。演出、脚本、役者の演技、配役、舞台装置、衣装など、本当に完成度が高い。