ARABAKI ROCK FEST. 07 一日目

昨年に続き、今年もアラバキ・ロックフェスティバルに行って参りました。昨年は、エコキャンプみちのくに会場を移して初めてということもあってか、バスがなかなか来なかったり、リストバンドの交換がスムーズに行かず、入場に時間がかかったりしていましたが、今年はそれらの問題も解決され、非常にすんなりと入場できました。

最初に見たのは、チャットモンチーです。ステージ前はもの凄い人だかりで、遙か後ろの方からしか見ることができませんでした。チャットモンチーは、リズムが面白いというイメージがあったのですが、生で聴くと、ヴォーカルの女の子の声がかわいらしくて、良く通ることに驚かされました。「シャングリラ」は、やっぱり格好良いですね。

次は、東京スカパラダイス・オーケストラを聴きました。ライヴが始まる前に、主催者とエコキャンプみちのくを要する川崎町の町長が挨拶をしたのですが、町長さんの挨拶が少々頓珍漢な感じで面白かったです。また、主催者は、この会場が大好きだと言っていましたが、私も、ここはかなり良い会場だなと思うので、今後もアラバキが、ここで続いてほしいと思いました。

スカパラは一番大きい「みちのくステージ」で演奏したのですが、通路まで溢れ出るほどの人の多さでした。一曲目からかなり後ろの方までモッシュピットになり、もの凄い盛り上がりを見せていました。スカパラは、無茶苦茶人気あるんだと納得しました。

スカパラは、途中で抜けて、ARAHABAKIステージのミドリを見ました。ミドリは、女性ヴォーカルに、ギター、キーボード、ドラムという変則的なパンクバンドなんですが、これがヤバかったです。編成的にはピアノロックですが、キーボードの演奏も余りに激しく、演奏のテンションは異常に高かったです。音楽的には、パンク、ジャズ、昭和歌謡が混じったような感じでした。

また、インパクトが強いのがヴォーカルの女性です。ちょっとYUKI に雰囲気が似ているヴォーカルの女性は、何故か白いセーラー服にルーズソックスという格好をし、ステージ上を駆け回り、叫びまくるという感じでした。圧巻だったのは、3メートルはあろうかという高いスピーカーの上に登って歌ったり、身体をよじらせたりしていたことです。この激しい演奏とパフォーマンスに、会場は異様な盛り上がりを見せ、前の方は激烈なモッシュの嵐になっていました。ミドリは、個人的に文句なしに今日一番の衝撃でした。こりゃあ、凄いバンドが出てきたもんだ。

ちなみに、ミドリが山本直樹とコラボレーションして作ったというTシャツのデザインもありえないヤバさです。(リンク

この後、昼飯を買おうと売店を見ると、どこも凄く混んでいました。しかし、何とかラーメンを買って食べました。疲れてるのでうまいです。

その後は、Chara を見に行きました。Chara の声はかすれ気味だったのですが、それでも良い雰囲気で聴かせてしまうところはさすがでした。あと、合間合間に結構叫び声を上げていたので、意外でした。また、「音楽大好き!」とか「人間大好き!」と若干気合いを入れて掛け声風に言ったところがあったのですが、コール&レスポンスを求めているかそうでないのか良く分からない微妙な感じで面白かったです。でも、全体的には非常に良い感じでした。

その次は、Eastern Youth を見ました。イースタンの吉野は、アラバキの会場内で行われたプロレスの第二試合を見て、泣きそうになり、自分もがんばらないとと思ったそうです。しかし、MC は少な目で、無骨に演奏していました。演奏は、ドラムの音が少し小さめだったのが残念でしたが、ディストーションギターのフレーズの美しさ、そして吉野の叫ぶような歌い方が印象的でした。少し日本的な音階が入っているメロディーに、日本語のみの歌詞と、彼らの音楽は日本ということを非常に意識したものであり、独特だと思いました。

演奏も曲もメンバーの態度も無骨だなあと思いましたが、シンプルで美しいとも思いました。聴いていると、もっと背筋をしゃんと伸ばして生きなければならんと思わされる演奏でした。このようなバンドだから、聴衆から熱狂的に求められるのだろうと、周りの観客の姿を見て思いました。

次に、安藤裕子を少し見ました。演奏は洗練されたシティーポップスで、歌もかなり上手く、質が高いと思いました。また、お客さんも凄い数でした。

次に、The Birthday を少し見ました。キューちゃんのドラムが格好良かったです。また、チバの髪がえらく長くて驚きました。チバのがなり声は健在ですね。

その後大移動をして、TOKYO No.1 SOUL SET を見ました。サンプラーは余り使わず、演奏はほとんど生でした。ラップはありますが、余りリズムの繰り返しを強調することなく、コテコテのメロディーで歌が歌われる部分も多いということで、ヒップホップともポップスとも言えない変わった感じで面白かったです。

この時すでに夕方になっており、かなり冷え込んできたので、売店でチャイを買い、身体を暖めました。今回は、昨年より売店が大幅に減っており、どの店も混雑していて、買うのが大変でした。特に、佐世保バーガーの店は、一日中もの凄い長蛇の列が並んでいました。

その次は、ROVO を見ました。ツインドラムに、キーボード、そして電子バイオリンという変わった編成ですが、音楽はプログレみたいな感じでした。歌はなしのインストゥルメンタルなのですが、演奏技術は非常に高く、特にリズムは無茶苦茶凄かったです。どう叩いているのか全く想像できない複雑なリズムパターンばかり叩くのですが、にもかかわらずこれが非常に格好良く、聴いていて気持ちがよいのです。

基本的に最初は静かで、だんだん盛り上がり、最後にドラムが激しいビートを叩き、音圧が上がって盛り上げるという曲が多かったです。特に、最後の曲の盛り上がりは凄まじく、演奏は何だか訳が分からないけれど、音楽に引き込まれ、トランス状態に陥るという感じでした。聴衆は、縦ノリでも横ノリでもなく、憑かれたようにゆらゆら踊っており、最後の方は凄い雰囲気でした。

その後、腹が減ったので、インドカレーとナンのセットを買って食べました。ナンは焼きたてだったので、パリパリもちもちしており、メチャうまかったです。汁っぽい野菜カレーも、ほどよい辛さで、ナンと良く合いました。明日は、ケバブを食べたいです。

そうしてカレーを食っていると、何故か「今夜はブギーバック」が流れてくるじゃありませんか。どうも、ハナレグミが演奏しているらしい。しかも、スチャダラパーがラップしてるっぽいということで驚きました。思わず駆けて行こうかと思いましたが、ピロウズを見るために泣く泣く諦めました。

本日の締めは、メインステージの「MICHINOKU ステージ」のトリを任されたThe Pillowsです。私はのんびりカレーを食べていたら、いつの間にか始まる時間になっていたので、ステージに向かうと、何と「ストレンジ・カメレオン」が聞こえてくるではありませんか!私は急いで走り、何とか後半はステージ正面で聴くことができました。

この日は、山中さわおは、メインステージのトリというのがよほど印象的だったようで、「どうしたんだ、お前ら?エルレガーデンもバースデイも終わったんだぜ。もしかすると、僕たちに興味がおありでしょうか?」とかメインステージのトリをお願いされたとき、こいつはおかしいんじゃないかと思ったとか、自虐ネタ紙一重みたいなことを言っていました。

この日は、他のMCも面白くて、ピロウズの野外なのに雨が降らないとは、今夜は特別な魔法にでもかかっているんだろうかとか、ピロウズは17年、もうすぐ18年やってるけど、全然音楽に飽きてない、未だにロックは良いなって思うなど、男前な台詞を連発していました。

今日は、大舞台で、大観衆の前で演奏していたピロウズですが、やっぱり曲が良いなとしみじみ思いました。必ずしも演奏力が卓越したバンドではないと思うのですが、それでも説得力がある演奏だなと思いました。特に「Little Busters」と最後の「ハイブリッド・レインボー」の時は、かなりグッと来ました。

ピロウズイースタン・ユースのように、聴くと背筋が伸びるというか、ただ盛り上がるだけでは終わらない、おみやげを残してくれるバンドだと思います。今回、さわおが「忘れられない夜になった。」と言っていましたが、聴衆にとっても、忘れられない夜になったのではないかと思います。個人的には、ピロウズが締めで本当に良かったと思いました。

今回は、前売りも完売ということで、人が多いなと思いましたが、山奥の割には環境も快適で、非常に楽しかったです。早くもかなり疲れましたが。しかし、ロックを聴くと、背筋が伸びる感じがして、もっと真っ当に生きなければと思わされます。