ARABAKI ROCK FEST. 07 二日目

本日は、アラバキロックフェスティバルの二日目に行って参りました。今日は、連休最初の日曜で高速が混んでいたのでしょうか、バスが一般道を走り、なおかつ道が混んでいたので、会場に着くのが非常に遅くなってしまいました。昨日は50分くらいで着いたのに、今日は1時間30分くらいかかりました。

そのため、会場に着いたときには、お目当てだったフルカワミキの出番は終わりに近づいていました。遠くからモグワイのようなディストーションギターが聞こえてきたので、急いでステージに向かったのですが、最後の最後をほんの少し聴けただけでした。残念。

その後は、入り口付近の出店で玉こん(球形のこんにゃくを汁で煮た料理)を買って食べながら、Beat Crusaders のステージに向かいました。個人的に昨日のピロウズで一度満足しきったし、大分疲れているということで、今日はゆるく行くと決めていました。そのため、遠くから座って音だけ聴くことにしました。音の方は、凝った演奏のメロコアという感じで、これは盛り上がるだろうと思わされました。また、Asparagus と競作したという曲が、非常に良かったです。

また、ビークルと言えば例の四文字コールですが、本当に執拗に何度も何度もコールさせていました。女の子だけにコールさせるというのは、公開セクハラに近いのではと思いましたが、多分非日常空間の自由さを存分に満喫した淑女の皆様方は嬉々としてコールされていたことと思います。MCでは、みんな、やたらと「奥様」と呼びかけたり、「俺たちは中年の星」など、ふざけたことばかり言っており、面白かったです。


その後は、小谷美紗子 Trio を見ました。開始時間の20分くらい前には、ステージ前に余り人がいなかったので心配したのですが、最終的には後ろまで埋まっていたようでした。裏がアジカンということで、小谷美紗子も客の集まり具合は気にしていたようで、今日は80人くらいは来てくれるはずだと思ったら、沢山集まってくれて嬉しかったと言っていました。

編成は、キーボードとベース、ドラムとシンプル極まりないですが、演奏レベルは極めて高かったです。鉄壁のリズム隊、特に非常に凝ったドラムのリズムパターンがボトムを支え、電子ピアノと歌がリズムに絡み、渾然一体となった音を作りだしていました。

小谷は元々ガールポップス的な文脈でデビューしたため、一時期はガールポップという音楽ジャンルの地盤沈下に巻き込まれそうになり、苦労していました。しかし、イースタン・ユースや元ナンバー・ガールの田渕ひさ子、そして今回Trio を組んだ100s玉田豊夢山口寛雄と組むことで、最新モードのロックのサウンドを手に入れからと言うもの、どんどん音が新鮮になって、面白くなっていると思います。

今回生で聴いてみて、ロックとしても、無茶苦茶カッコ良いと思いました。元々ピアノ弾き、そして歌い手としては破格の才能の持ち主なので、鉄壁のリズム隊が手に入った今はまさに無敵という感じでした。この日演奏された今度出るアルバムの曲と新曲「YOU」は、曲も素晴らしかったですし、演奏もかなりのヤバさでした。

小谷美紗子を見ていると、ガールポップからロックへ進んだミュージシャンズ・ミュージシャンということで、何となく鈴木祥子を思い出すのですが、何とかそこで落ち着かないで、もっとメジャーな場所で活躍してほしいと心底思いました。


小谷美紗子のライヴで、またまた満足しきったのですが、歩いているとPolysics の異様にテンションの高い曲が聞こえてきたので、ついついそちらに向かってしまいました。しかし、ポリシックスが演奏した「Arahabaki ステージ」前は、人で埋め尽くされていました。凄い人気です。しかし、いつもながらの凄い盛り上げ方でした。

その後、お腹が空いたので、出店で飯を買おうとしたのですが、どこも長蛇の列で困りました。その中で、フィッシュ&チップスの店は余り並んでいなかったので食べようとしたら、チップスの方がなかったらしく、魚フライ二匹になってしまいました。本当はドラゴン・アッシュを観に行く予定だったのですが、売店隣の「Tsugaru ステージ」から、良い感じの音楽が流れてきたので、急遽Heatwave を見ることにしました。

正直、お客さんはかなり少なかったのですが、音の方は非常にポップで、演奏も凝っていて良かったです。このステージは湖畔にあるのですが、私は湖畔の柵に座って、まったりしながら聴いていました。この時、ちょうど晴れてきて、青空が広がり、日が射してきました。湖の畔で、爽やかな風に吹かれながら、昼下がりの光を浴びて、質の高いポップミュージックを聴けるなんて、最高じゃないですか!

ラスト二曲は、四つ打ちの踊れる曲で、かなりの盛り上がりを見せました。曲も演奏もセンスが良いし、技術も申し分なく、凄くポップで、聴いていて楽しかったです。お客さんの少なさも含め、昨年同じこのステージで、同じくらいの時間に聴いた堂島孝平のライヴを思い出しました。昨年の堂島君のライヴ同様、ヒートウェイヴのライヴが、今回のフェスで一番気持ち良い時間でした。

そういえば、昨年堂島君とつじあやのがコンビを組んでアラバキに出演したのですが、今年は出なかったので残念でした。昨年はアラバキオリジナルソングを作ってくれるほど、大サービスだったんですが。堂島君も、単独では出演しなかったので、そちらも残念です。

その後は、Dragon Ash を見に行ったのですが、最後の一曲くらいしか聴けませんでした。ヒップホップにラテンフレーバーを入れており、相変わらず他と自分たちを差異化するセンスに長けていると思いました。演奏もしっかりしていて、スケールが大きく、大舞台向きだなと思いました。

その後は、まだ腹が減っていたので、また飯を食べに行きました。今回は、時間も3時過ぎということで、それほど並ばずに買えました。今回は、昨日から記になっていたドネル・ケバブを買ってみました。このケバブは、ドイツで散々お世話になったので懐かしい気持ちで買うと、大きさも小さく、具もキャベツの千切りと鶏肉だけということで、ドイツの奴とは全然違うものでした。それだけでは物足りなかったため、さらに大串の焼き鳥も食べました。


お腹が一杯になったところで、メインステージの「Michinoku ステージ」にベンジーこと浅井健一を見に行きました。ステージ前の人の数は、これまで見たアーティストと比べ大分少なかったのですが、その分ゆったりと見ることができました。私は生でベンジーを見るのは初めてだったのですが、余りに格好良いので驚きました。ギター持ってステージに登場するだけで格好良く、近くにいた女性は思わず「かっこいい」という声をもらしていました。ギターを鳴らし始めると、格好良さはさらに増大し、思わず頭に「カリスマ」という言葉が浮かびました。生で見てみて、これがベンジーかと、深く納得しました。

編成は、ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムというスリーピースでしたが、演奏は非常にタイトで、無茶苦茶格好良かったです。ベースは、上下真っ黒の服に長い黒髪と黒ずくめの女性でした。彼女は、長いネックのベースを抱えて、ゴリゴリと弾いており、その佇まいが印象的でした。

ベンジーの曲は、メロディーも歌詞も何だか良く分かりませんし、歌い方も変で、演奏も感情を込めたという感じではないので、聴いていて全然感情移入はできないのですが、一部の隙もないスタイリッシュさに痺れました。そのため、また別の女性が、曲が終わった瞬間「ベンジーかっこいい」「たまらん」と呟いたのことにも納得できました。ドラムがパンクのビートで叩いても、演奏全体はスタイリッシュに聴こえるのだから凄いと思いました。

また、近くの芝生に親子連れがいて、小さな女の子とお母さんが、いっしょに手を取り合って踊っていたので、非常に和みました。小さい頃から、ベンジーの演奏を聴きながらはしゃぐとは、早熟なロックガールですね。

とにかく、盛り上がるとか、熱くなるというよりは、ただひたすらにその演奏の格好良さに痺れるという感じでした。また、徹頭徹尾ひたすら格好つけることに徹しているベンジーは凄い人だと思いました。

ベンジーが余りに格好良かったので、このまま帰ろうかと思いましたが、せっかくなのでザ・クロマニヨンズを見に行きました。最初は途中で元ちとせに行くつもりだったのですが、聴いていて余りに楽しかったので、結局最後まで聴いて、大盛り上がりしてしまいました。

曲も演奏もシンプル極まりないパンクで、小細工は一切抜きという潔さでした。さらに歌詞も「チンパンマン」とか、中学生が考えたのかという安直なものばかりでしたが、中学生のような初期衝動を大ベテランが未だに持ち続けているというのは、とんでもないことだと思いました。

若い頃の初期衝動を持ち続けているベテランと言えば、他にはギターウルフがいますが、ギターウルフが破壊的で暴力的であるのに対し、ザ・クロマニヨンズにそのような要素は皆無で、ただひたすら馬鹿馬鹿しく、甘酸っぱい感じでした。余りの直球具合に、聴いていて思わず笑みが漏れ、楽しくなってしまいました。


その後は、エレファント・カシマシを見ました。初っぱなから「ガストロンジャー」です。でも、昔と比べると、大分激しくなくなった感じがしました。代表曲を惜しみなく投入する中、新曲が二曲混じっていました。「涙のテロリスト」という曲は、無茶苦茶ポップでメロディアスな曲で、本当にできたばかりで、嬉しいので聴かせたかったそうです。もう一曲は、「がんばろう」「がんばるしかない」と、聴く者を励ます、がんばれソングでした。がんばれソングでも、宮本が歌うと説得力があります。

二曲とも、ポップで聴き手に対する優しさと励ましに満ちた曲だったので、今の宮本は、かなりのポジティブモードなのでしょう。そのためか、個人的には、過去の名曲よりも、新しい曲の方が聴いていてしっくりきました。

エレカシで十分満足したので、帰ろうかと思ったら、ソウルフラワーユニオンが演奏しているのが聞こえたので、思わずそちらに走ってしまいました。まだ、それほど演奏していなかったようで、その後何曲も聴くことができました。もう最後だし、演奏を聴いていると身体が自然に動き出すので、リズムに合わせて、踊りまくりました。民謡っぽいリズムで踊るのは、気落ちがよかったです。

非常に楽しかったので、アンコール二回目を引っぱり出そうと思ったのですが、撤収の関係か、かなり長い時間ねばったにもかかわらず、駄目でした。しかし、十分に楽しんだし、大満足でした。

その後、腹が減ったので、帰る前にカレーを食べました。昨日食べたカレーとナンが非常においしかったので、また同じ店で買ったのです。今日は、もう修了間近と言うことで、ケバブの肉とキャベツの千切りをつけて、大盛りにしてくれました。このお店は、インドの人が売り子をしていたのですが、中野と銀座のレストランから来たのだそうです。正直キャベツは余計でしたが、やはり焼きたてのナンとカレーは非常においしく、腹も膨れ大満足でした。


今日は、ベテランのバンドばかりを聴いたのですが、やはり長いキャリアを持つバンドは、それだけのものを持っているなと思いました。商業音楽は非常に競争の厳しい世界で、メジャーデビューして10年、20年活動を続けられるバンドなど、本当に極一握りだろうと思います。その激烈な競争を勝ち抜いて、生き残るというのは、本当に並大抵のことではないと思います。そうやって生き残ってきたバンドは、やはり生き残るだけの強度を持っており、それぞれに独自の強みを持っていると思いました。

この二日は、非常に楽しく、沢山の良い音楽が決めて、大満足でした。運営も、非常に良かったですし、お客さんも前売り券が売り切れになるほど入ったということで、大成功だったのではないかと思います。