第4回ザ・バレ・コン仙台決選

以前無性にバレエを見たくなった時期があったのですが、残念ながら仙台ではプロのバレエ公演はなかなか行われようなので、まあとりあえずコンクールでも良いかと思い見に行ってきました。今日行われたのは、「青少年のためのバレエ・コンクール 第4回ザ・バレ・コン仙台」の決選です。これがどのようなコンクールで、どのくらいのレベルなのか私は全く知りません。

私はチケットを買って入場したのですが、半ば予想はしていましたが、会場はコンクールに出演する女の子とその父母と思われる方々ばかりで、余り外から来た人間がいるとは思えないような雰囲気でした。私のような部外者は、不審者のように思われるのではないかと冷や冷やしました。

すでに午前中から審査は行われたようですが、私は午後から見ました。私は「女子 ジュニアB (9才〜13才までの女子)」の途中から見始めたのですが、驚いたのは余りにも数多くの参加者がいたことです。どうも総勢59人が踊ったようでした。すでに予選が二度行われ、決選まで絞り込まれているので、まさかこれほど沢山の人が残っているとは思いませんでした。

最初の数人は見ていてまだ面白かったのですが、曲も数種類しかなく、振り付けも余り変わらないので、そのミニマルさに途中で辛くなってきました。やはり、コンクールはやる側のもので、余り見て楽しいものではないようです。しかし、中には、ハッとするほど上手な子もいました。この時期は身長が伸び盛りなせいか、凄く小さな子とかなり大きな子では著しい身長差がありました。

その次の「女子 ジュニアA (14才〜17才までの女子)」は、またまた総勢38人が参加していました。ただ漫然と見ていると辛いので、一人一人コスチュームの色や演技の特徴をメモしながら、審査員気分で見ることにしました。これによって、一人一人の演技により集中できるようになりました。

女子ジュニア部門に対し、「男子ジュニア(9才〜15才までの男子)」と「シニア部門(16才〜29才までの男子)」は、それぞれたった3人ずつしか参加者がいませんでした。バレエは女子がやるものという社会通念は確固としたものがあるせいでしょうか、日本にはバレエをやっている男子は、本当に希少であるようです。

女子と比べると男子の方が遙かに競技人口が少ないようなので、演技のレベルも男子の方が低いのだろうと思っていたのですが、この予想は良い意味で裏切られました。男子の演技は、全体的に女子よりも、圧倒的にキレがあり、ジャンプも高く、躍動感があったのです。おそらくは、筋力の差なのでしょうが、動きのスピードやバネが女子とは格段に違うので、一つ一つの動きのインパクトが全然違います。テクニックのことは私は全くわかりませんが、男子の演技は非常に見ていて面白かったです。たった6人しかいなかったので、もっと見たいものだと思わされました。これは、他の観客の方々もいっしょだったようで、女子の時と比べると、男子の演技では遙かに大きな拍手が巻き起こっていました。*1

特に凄かったのが、男子シニアで一位になった茂木恵一郎さんの演技です。とにかく身体のバネが凄く、もの凄く高く跳ぶのです。演技の最中、一度、跳んでいる最中に身体をぐるりと回すという技を使っており、思わず会場からどよめきが起きたほどです。当然演技終了後の拍手もずば抜けて盛大で、個人的には、この日最もインパクトがある演技でした。

茂木さんは、現在群馬県の「山本禮子バレエ団・山本禮子バレエ団付属研究所」に所属しており、すでに様々なコンクールで入賞しているようです。また、ネットに高校時代のインタビューもありました。

最後は、「女子シニア(18才〜29才までの女子)」の審査が行われました。人数はぐっと減少して、10人でした。やはり、バレエは、小さい女の子の習い事という色合いが強く、ハイティーンまで続ける人は、極一部なのでしょう。このくらいの年齢までバレエを続け、コンクールに出るということは、バレエで身を立てることも考えているような人たちなのでしょう。やはり、全体的なレベルは、かなり上がっていました。ただ、さっき男子の演技を見てしまったので、それと比べると、どうしても動きが重そうに見えてしまうというところはありました。

その後、エキシビジョンで、前年のジュニア部門の一位の二人が演技したのですが、さすがにかなり上手かったです。

結局、ついでに審査結果まで見てしまったのですが、私の評価は、審査員の評価とはかなり違ったので、自分には見る目が全くないことが良く分かりました。

今日コンクールを見て思ったのは、バレエには、身体能力と容姿が必要だということです。バレエでは、不自然極まりない動きや身体運用を、不自然ではなく、美しいと思わせなければなりません。そのためには、不自然な動きを難なくこなす鋼の筋力が必要なのだと思います。全体的に、年が若い方が動きが重く、ドタドタして見えたのですが、これは彼女たちの筋力がまだ十分発達していないからでしょう。男子と比べると、女子の動きが重く見えるのも、筋力の差でしょう。

また、やはり背が低かったり、足が短い子よりも、背が高く、足が長い子の演技の方が綺麗に見えました。スタイルは生得的なものなので、スタイルが悪い人は、どんなに努力しても、スタイルが良い人には勝てないのでしょう。

身体能力があり、スタイルが良くないといけないバレエは、基本的に日本人には向いていないものなのだろうと思いました。個人的に思ったのは、非常に身体能力が高く、バネがある黒人がバレエをやったりすると、凄く綺麗なのではないかということです。

コンクールを見るのは初めての経験だったので面白かったですが、ミニマルな演技を延々と見るのは結構辛く、かなり疲れました。審査員の方は、一人一人集中して、細かく見ているのでしょうから、ずいぶんと疲れることだろうと思います。やはり次の機会には、プロフェッショナルのエンターテイメントな舞台を見てみたいと思いました。

*1:単に利害が絡まないからと言う、打算の産物かもしれませんが。