倉橋ヨエコ「白の世界」

昭和歌謡というイメージがある倉橋ヨエコですが、『色々』(2007年)に収められた「白の世界」は、シンセサイザーやストリングスも使ったポップなアレンジと、耳に残る印象的なメロディーで、完成度の高いポップスに仕上がっています。間奏のピアノのフレーズも非常に美しいです。

しかし、その強烈なヴォーカル、そして何より歌詞によって、一筋縄では行かない仕上がりになっています。何しろサビがいきなり、「惨めじゃない日はありません」で始まり、その後は「雪よ 哀れな私を嘲笑う為に降るの」ですよ。久々にこんな強烈な歌詞を聴きました。しかし、歌に力があるので、ただ単にエキセントリックなだけではなく、情念が説得力を持って伝わってくる感じがします。

この強烈な歌詞と歌唱のために、この曲は、単なる高品質なポップスでは収まらない、強い印象を聴く者に与える曲になっているのだろうと思います。



色々

色々