Swinging Popsicle 『Go On』

以前発売決定の時にご紹介したSwinging Popsicleの最新アルバム『Go On』を手に入れ、聴いています。

Swinging Popsicle は、元々はネオアコ/ギターポップ色が強い音楽をやっていましたが、次第にバンドの成熟度が増していくとともに、ギターポップというよりも普遍的なポップスをやるバンドになっていきました。

しかし、今回のアルバムでは、大幅に打ち込みを取り入れるなど、サウンドが、これまでとはかなり変わっています。前作「Transit」でも、「ニーチェ」という曲で、かなり実験的な打ち込みサウンドを試していたので、その流れを汲んでいるのでしょうか。

最近は、エレクトロニカ的なサウンドが浸透したり、80年代ポップスがリバイバルしたり、ネオ渋谷系が(極一部で)流行したりとシンセサイザーを使うポップスが増えてきましたが、このアルバムは、流行ものを安易に取り入れたような出来にはなっていません。

サウンドが打ち込みになっても、ポップスとしての完成度は高く、相変わらず地に足が着いた、エヴァーグリーンなポップアルバムになっています。藤島美音子さんの歌声は、落ち着いていながら艶やかですし、捨て曲は一曲もなく、メロディー、演奏、サウンド全てにおいて見事な完成度です。

しかし、今回は、打ち込み曲が大幅に増えたために、より聴いていて楽しく、ポップな仕上がりになっています。そして、このアルバムを象徴する一曲が、作曲者嶋田修さんも一押しの「Chocolate Soul Music」です。

タイトルからしてかなり狙ってきていることが伺えますが、その予想は、全く裏切られませんでした。この曲は、全編打ち込みの、ディスコビートの曲なので、聴いていると自然に身体が動くようなリズミカルな曲になっています。

この曲は、とにかくサビのメロディーが恐ろしくキャッチーで、一度聴いたら忘れられなくなるような、大変中毒性があるサビになっています。このサビのメロディーのうねりとリズムの絡み合いは、そうそう耳にすることができないほどの見事さです。個人的には、この曲一曲聴くためだけに、アルバムを買っても全く損はしないだろう思うほどの素晴らしいポップソングだと思います。

「Chocolate Soul Music」のような打ち込みのポップな曲も良いですが、このアルバムは、従来のようなアコースティックなサウンドで作られた曲も入っており、こちらも良い曲が揃っています。個人的には「I Will My Will」の哀愁漂うストリングスとリフレインするサビの絡みを聴いて、鳥肌が立ちました。

新しい挑戦もしつつ、全体の完成度は一切落とさないという非の打ち所がない出来で、今年を代表する名盤と言っても良い素晴らしいアルバムに仕上がっていると思います。派手さはないですが、今後数十年大切に聴き続けることができる、エヴァーグリーンな一枚だと思います。



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インタビュー

Musicshelf」:『Go on』に関するインタビュー以外にも、さらにメンバー三人がそれぞれのテーマで選んだプレイリストも見れます。


レビュー


Go on

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