クリスチャン・ヴォルクマン監督 『ルネッサンス』 2007年

フランスで作られたCGアニメーションルネッサンス』を見てきました。この映画の映像は、アメリカのアンダーグラウンドなコミックを思い起こさせるような極端にコントラストの強い白黒によって構成されています。つまり、フランク・ミラーの『シン・シティー』と同系統の映像です。ただ、『ルネッサンス』ではキャラクターもCG で描かれており、なおかつ白と黒のコントラストがほぼ2値に近いほど強いために、よりコミックに近く、強烈な映像に仕上がっています。

人物も全てCG ですが、白黒二値で、細かい部分が見えないので、CGキャラの動きの不自然さは余り目立ちませんでした。表情を再現する技術も、相当に高いレベルまで上がっていることを実感しました。

世界観は、ハードボイルドなサイバーパンクという感じで、正直映像から予想される範囲を出るものではありません。個人的には、この作品では光学迷彩が弱すぎることに驚きました。

物語は、アヴァロンという大企業の研究員である美人研究員が、何ものかに誘拐されたことから、ハードボイルドなはみ出し刑事が彼女を助け出すべく奮闘するという話です。その過程で、刑事は、彼女の姉と恋に落ちたり、脈絡もなくカーチェイスをしたり、銃撃戦をしたり、美人研究員が行っていた研究の謎を暴いたりします。基本的には、アクションを散りばめつつ、誘拐の原因と犯人を探っていくというサスペンスものです。

個人的には、話はそれほど興味深いものでもないと思ったので、斬新な映像を楽しむための映画だと思いました。スタイリッシュな映像は、一見の価値があると思います。ただし今後は、このような映像を使って、いったい何を演出するのかという中味の問題が問われてくると思います。

いずれにせよ、映像は非常に斬新で、強烈なインパクトがあるので、アニメーションが好きな人は必見の一作になっていると思います。