『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』

予告編を見る限りしょぼかったので、見に行くつもりはなかったのですが、やはりあちこちで話題になっているし、イベントに参加する気分で新しい『ヱヴァンゲリヲン』を見に行ってきました。

仙台フォーラムの最終回で見たのですが、劇場はほぼ満員と凄い人気でした。男女比は男性が7〜8割くらいでしょうか。年齢層は、10代後半から20代前半くらいで大学生中心という感じでした。エヴァリアルタイム世代より若い感じですが、おそらく時間が遅かったからなのでしょう。オタク的な人は余りおらず、大半は普通の若者というかんじでした。

しかし、10年経ってもこれほどの人気を保っているのだから、『新世紀エヴァンゲリオン』という作品は、本当に凄い作品だったんだと思います。

内容は、テレビシリーズの第6話ヤシマ作戦までのダイジェストです。細かいところで若干の違いはあるのですが、基本的にはほとんどそのままダイジェストにしただけです。かなりの部分がはしょられているので、キャラクターの心理や設定などは極めて説明不足です。そのため、この映画は、事実上テレビ版を見た人だけを相手にしている映画だと言って良いでしょう。

物語的には、庵野監督も結婚して丸くなったのか、旧作よりも、シンジ君を周り、特にミサトさんが支えるという感じで、成長物語度がかなり上がっていたような印象を受けました。特に、ヤシマ作戦の展開は、かなり少年漫画度がアップしていたと思います。庵野監督ももう良い年ですし、今度は前のような病んだ話ではなく、もっと健全で王道な少年の成長物語になるのかもしれませんね。

絵的には、3DCG を多用したりして、画面が緻密になったり、綺麗になったりはしているのですが、基本的にはカット割もほとんどそのままですし、それほど旧作から進歩したという印象は受けませんでした。

展開が飛び飛びの一貫性に欠ける作りになっていますし、ストーリーは全部知っているので、見ていてかったるくて仕方がありませんでした。最後のヤシマ作戦は、映画のクライマックスらしく映像的にかなり派手になっており、少し注意がひかれたところもありましたが、正直これならテレビ版の6話までをもう一度見返す方がずっと面白いなと思いました。やはり、通常の映画の構成から大きく外れているダイジェスト的な内容だと、ストーリーや展開の起伏が滅茶苦茶で、クライマックスも今一つ盛り上がらないと思います。

これだけ見る限りでは、正直お金儲けのために、手軽な作品を作ったとしか思えず、リメイクする意味を感じられませんでした。おそらく、次の劇場版で、何らかの新しさや、リメイクする意味のようなものが明らかになるのでしょう。この映画自体は、作品自体をどうこう言うようなものではなく、本当に次から始まる新展開のためのプロローグでしかないのだろうと思います。


(参考)

テレビ版との違いが、「最終防衛ライン2」さんでまとめられていました。このネタバレを読んで、「序」は飛ばして「破」から見るのも良いかも知れませんね。