フランス・レンヌフェスティバル

仙台はフランスブルターニュ地方のレンヌと姉妹都市だそうで、今年は40周年記念なのだそうです。そのため、今年は「2007仙台におけるフランス・レンヌ年」という一連のイベントが行われています。今日と明日は、「フランス・レンヌフェスティバル」という催しが街中で開かれています。

先ず、一番町を中心としたアーケードでは、オープンカフェやフランスの物産を扱った出店が出ており、ワインやチーズ、クレープなども食べられるようになっていました。また、ブルターニュやレンヌに関する展示もありました。

今回の催しの中心は、ブルターニュ民俗音楽・舞踊団「セルクル・セルティク」の街頭講演とパフォーマンス集団Kezako's街頭公演「王と王女」です。

「セルクル・セルティク」は、男女十数名から成るグループで、路上で民族音楽の演奏に合わせ、ダンスを披露していました。楽器編成は曲によって違いますが、クラリネット、サックス、アコーディオンバグパイプで、時折ヴォーカルも入りました。ブルターニュは、元々ブリテン島西南部から移住してきたケルト人の土地なので、演奏も、メロディーも、コブシを回す歌い方も、同じケルト系のアイリッシュ・トラッドを彷彿とさせるものがありました。

Wikipedia: Music of Brittany

彼らのダンスは、基本男女ペアで、女性だけ男性だけでラインを作る、女性3人や男性3人で輪を作る、男女全員で輪になる、頻繁にパートナーを変えながら踊るなど、絶えずフォーメーションを変えていく複雑なものでした。ただし、踊りそのものは技巧を要するものではなく、みんながいっしょに踊るのに適したものでした。伝統的なダンスは共同体的で行うものであり、みんながいっしょに同じ踊りをすることに大きな意味があるのだろうと思いました。また、ダンスの席は、男女の出会いの場、または親密になるという縁結びの場でもあったのだろうと思いました。

このダンスは、伝統をそのままに引き継いだというよりは、観客に見せるための要素が強調されていると思いますが、かつては、共同体の人的結合の再確認の場、さらに人口再生産のきっかけを作る場としてダンス、祭りあるいは宴会が果たした役割の大きさを思い起こさせました。仙台のような都市では当然このような共同体の祭りは成り立ちませんが、多分レンヌでもいっしょでしょう。その意味では、伝統的な踊りや音楽は、本来の社会的機能とは切り離された純粋な形式、つまり芸として保存するしかないと思いました。

また、彼らが纏っていた民俗衣装も非常に綺麗でした。衣装は一人一人違っていましたが、黒が基調になっているようでした。男性の衣装は背広のような普通の生地で出来ていましたが、女性の衣装はビロードやシルクのような非常に美しい生地で作られていました。生地が黒なので、細かな細工のしてある純白のレースのヘッドドレスや肩掛けが良く映えていました。

最後は、観客も引き込んで、みんなで手を繋ぎ長い長い列を作り、うねうねと曲がりくねりながら踊るというパフォーマンスで締めでした。


こんな感じで踊っていました。


Kezakos は、竹馬に乗った非常に背が高い蝶の羽根を持った3人の妖精と、猫の着ぐるみを着た数人と、非常に大きな王と王女のマリオネットから構成されるパフォーマンス集団でした。何しろ非常に大きいし、シルエットが日常ではまず目にすることがない特殊なものなので、アーケードの中を歩いているだけで大きなインパクトがありました。


正直姉妹都市という関係が何を意味しているのか良く分かりませんし、このようなイベントでレンヌやブルターニュをアピールすることに何らかの実利的な意味があるのか分かりません。しかし、このイベントを機会にレンヌという都市の存在を知ったり、親近感を感じる人が数千人か数万人は増えるでしょうから、何だか良く分からない縁をバラまき、予想不能の新たな縁を生み出すための投資としては非常に良いイベントなのではないかと思います。