supercell は何故売れたかという問いは適切か
「Waste Of Pops 80s-90s」さんで、supercellが売れた理由が良く分からないと書いてありました。その理由はもの凄く単純で、supercell のryoさんが現在のVOCALOIDのプロデューサーでダントツに人気があるプロデューサーさんだからというものになるでしょう。彼の動画はニコニコ動画で最も人気があり、アルバムでは軒並み100万アクセスを越えている大ヒット曲を揃えたのですから、数万枚程度のの売り上げが見込めるのは当然でしょう。myspaceやYouTubeで数百万アクセスを稼ぎ出した無名アーティストが、膨大なアクセスを集めた楽曲をひっさげてメジャーデビューして売れるということと、特に変わりないと思います。
むしろ、ニコニコ動画、VOCALOID界隈で群を抜いた人気を誇るryoさんですら、たった5.6万枚程度しか売れなかったので、ニコニコ動画も初音ミクもまだニッチのマイナーな分野だということがはっきりしたと思います。現在の日本のインターネット環境にはリリー・アレンやアークティック・モンキーズを生み出すメディア的土壌がないことがはっきりしたと思います。OSTERprojectさんのアルバムが初動約1万枚、「桜の雨」が5000枚程度の売り上げだったことから予想はできましたか、まあこんなもんかという数字だと思います。
またsupercellのアルバムが、初音ミクのキャラクターのせいで売れたと思っている方がいらっしゃるようですが、そう単純ではありません。現在の初音ミクやVOCALOID楽曲の視聴は、むしろ普通のポップスの視聴と余り変わりません。
このあたりはこの間「初音ミクの分裂」という文章で書いたので、長いですが最後まで読み通していただければと思います。http://d.hatena.ne.jp/beentocanaan/20090311#p1
supercellが初音ミクのキャラクターから恩恵を受けた経路は、初音ミクが初期にキャラクターとして注目を集めたことで、VOCALOIDを使った楽曲に注目が集まるという環境がニコニコ動画で生まれ、その環境があったおかげで、ryoさんの楽曲は大勢から注目を集めることができ、多くのファンを獲得し、それら多くのファンがCDを購入したという間接的なものになっています。
ミクが使われているCDなら何でも良いと初音ミクがアイドル視されているならば、初音ミクを使ったCDの売り上げは一定の数字を保つはずですが、実際にはそうなっていません。初音ミクのCDは、ファンが楽曲ではなく歌い手に付くが故に、売り上げが安定しているアイドルのCDとは売れ方が根本的に異なるので、CDの購入者は初音ミクを使っているから何でも買うのではなく、初音ミクを使って楽曲を作る作者の名前でCDを選んでいると考えるのが自然でしょう。
いずれにせよ、supercellが売れた理由は、彼らがニコニコ動画で圧倒的な注目と人気を集めていたからという、極単純なものだろうと思います。
- アーティスト: supercell feat.初音ミク
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct(Japan)Inc.(SME)(M)
- 発売日: 2009/03/04
- メディア: CD
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