富樫義博『HUNTER×HUNTER』No.24
長い間休載されもう駄目だろうと思っていたら復活した『HUNTER×HUNTER』ですが、毎週圧倒的な引きの強さで次週を楽しみにさせる、少年漫画の王道を行く漫画になっていると思います。
この24巻も、話は決戦前夜の細々した話の連続という感じで余り進みませんが、伏線をこれでもかと張りまくっており、読者を飽きさせません。驚異的なのはその構成力で、王とコムギの関係の深まりを軸にしながら、プフの心配、レオルの思惑、モラウのバトル、パームの潜入、ノブの潜入と廃人化、キルアとイカルゴの友情など、各々のキャラクターが各々の思惑で動き、その個々の動きが相互に作用し、さらなる動きを生み出していく様を複眼的に追いかけています。この複雑な展開を読みやすくまとめ、なおかつ先の展開に対する読者の興味をかきたてる富樫の手腕は、並々ならぬものがあると思います。
この圧倒的な引きの強さは、現在連載中の人気少年漫画の中でも際だっており、引きの強い少年漫画を描かせたら富樫の右に出る者はいないと思わされます。
- 作者: 冨樫義博
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/10/04
- メディア: コミック
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二ノ宮知子『のだめカンタービレ』#18
相変わらず色々なキャラクターに焦点が当たっているため、話がなかなか進まなくなっています。この巻では、千明との別居とリサイタル程度しかのだめの動きは描かれておらず、むしろ孫Rui がメインになっています。幼い頃から活躍している天才ピアニストの音楽に対するモチベーション低下と復活が描かれていますが、眠れる天才ののだめと今後何か絡んでくるのでしょうか。
パリの音大の学生たちのそれぞれの期待や悩みを描いているという感じの展開がしばらく続いていますが、今後拡散した話やテーマを収束させることはできるのでしょうか。
- 作者: 二ノ宮知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/06/13
- メディア: コミック
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矢沢あい『NANA』18
ここしばらく巻頭には数年後の様子が描かれており、将来ブラストが解散し、ナナが失踪することが既に明らかになっています。そのため、未来はすでに決まっており、その定められたカタストロフに向かって話が進んでいることが、読者に提示されています。何故このような変則的な展開を採っているのはまだ分かりませんが、そのうちその理由は分かるのでしょうか。
『NANA』も長期連載ものの例にもれず、様々なキャラクターの数が増え、テーマや話の筋が拡散し、焦点が合わなくなってきています。おそらく元々はハチとナナの関係を描くための話だったと思うのですが、ここしばらくは芸能界もののような展開になっており、恋愛関係も錯綜しきっているので、ますますハチとナナの関係性は薄くなり、話は混迷しているように見えます。
しかし、とりあえず色々なことが起こっているので、漫画としては面白いです。これで問題はないのでしょう。
巻末には、トラネスのタクミの過去を描いた中編が入っていますが、女性にだらしないところや冷たいところがきっちり描かれていて、結構生々しい人物造形になっています。本編共々かなり嫌な部分もあるキャラクターとして描かれていますが、人気はあるのでしょうか。
- 作者: 矢沢あい
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: ペーパーバック
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