ドイツ音楽市場2003年(1)

今日から、しばらくDie deutschen Phonoverbände ドイツ音響連盟のサイトに掲載された2003年ドイツの音楽市場に関する統計をご紹介します。この調査は、45ページにも及ぶ詳細なもので、ドイツの音楽市場の特質が良く分かるものになっているので、概略だけではなく、もう少し詳しく紹介してみようと思います。


売り上げ

2003年のドイツのオーディオレコード売り上げは、16億4800万ユーロでした。1ユーロ135円として計算すると、約2225億円ほどになります。

IFPI の調査に基づき、日本レコード協会がまとめた2002年の各国オーディオレコード売り上げ比較によると、ドイツの売り上げは世界第5位になります。世界1位の売り上げを誇るアメリは、2位の日本の約三倍の市場規模があり、3位のイギリスの市場規模は日本の三分の二、ほぼ同規模の4位と5位のフランスドイツはイギリスのさらに三分の二ほどの市場規模になります。

そのため、ドイツのレコードの市場規模は、アメリカの約六分の一、日本の半分くらいになります。ドイツは八千万人ほどとヨーロッパでは最大の人口を抱えていますが、人口が六千万人ほどのイギリスよりも市場規模が小さいということで、一人当たりの購入金額の少なさが目立ちます。


ちなみに統計を見ると、アメリカ、イギリスの一人当たりの購入金額の高さが際だっています。また、上位5位までの国と、6位以下の国には市場規模に大きな格差があるのですが(6位のカナダの市場規模は、5位のドイツの三分の一以下)、北欧、スイス、オセアニアなどの富裕な小国の一人当たりの購入金額の高さが目立ちます。やはり、裕福な国の国民の方が、一般的に音楽にお金を沢山使うという傾向が、統計にも現れています。


売り上げの推移

ドイツのオーディオレコードの売り上げは、2000年以来下落の一途を辿っています。90年代後半は約25億ユーロで安定していた売り上げが、2000年を境に急速に下がっていっています。2000年の売り上げが24億9000万ユーロ、2001年が22億2000万ユーロ、2002年が20億5400万ユーロと年10%以上下がっていますが、2002年から2003年にかけての下落は19.8%という、さらに深刻なものになっています。1998年と比べると、約40%の売り上げの減少になり、1989年の水準まで下がったそうです。


音楽性品の売り上げが下がる一方で、音楽コピーの数はますます増加しているそうです。CD-R によるコピーは3億5000万枚に登り、6億曲インターネットから違法にダウンロードされたと推定されています。この調査では、この違法コピーが音楽市場縮小の最大の原因だとされています。さらに、厳しい経済状態、一般的な消費の減退が、それに追い打ちを掛けたとされています。


一方で、2003年から統計に組み入れられた音楽DVDの売り上げ は、2002年から2003年に掛けて、47.5%と急激に伸びました。そのため、音楽ビデオを除いた売り上げの下落幅は、約21.3%とさらに高いものになったようです