ドイツ音楽市場2003年(3)
今回紹介しているDie deutschen Phonoverbände ドイツ音響連盟の統計では、違法、合法を含む音楽のコピーの状況についても、詳しい記述がなされていますが、申し訳ありませんが、今回は紹介を割愛させていただきます。しかし、違法コピーの問題は、現在の音楽市場を考える上での、一つの焦点になる問題なので、いずれドイツのコピー事情とその対策、効果、さらに各国の対応についても、できるだけ新しいデータを使って、まとめてみたいとは思ってはいます。
販売数
2003年にドイツで販売された音楽メディアの総数は、1億8320万だそうです。販売数のほとんどは、1億3360万枚が販売されたCD のアルバムで占められています。次いでシングルの2440万枚、カセットの1400万個、音楽DVD の790万枚が続きます。高音質メディアであるSACD とDVD Audio は、合計で50万枚にとどまっています。
2002年の販売数は2億2390万枚だったので、2003年の販売数は、前年比で18.2%の減少となります。90年代後半から2000年までは、2億7000万強の販売数で安定していましたが、やはり2001年から急速に販売数が下がっています。
この販売数の減少の原因は、音楽に対する需要の減退ではなく、CD-R とインターネットのダウンロードによる違法コピーであると、この調査では推測されています。何故なら、販売数が減少しているにもかかわらず、コピー数は増加しているからです。
CDアルバム、シングルの販売数は大幅に減少しました。現在の主力メディアであるCDアルバム とシングルが大幅に販売数を減らしたのが、全体の販売数の減少の原因です。特にシングルの販売数低下は著しく、2000年と比べると、2003年の売り上げは約半分まで減少しています。シングルは、違法ダウンロードの影響を強く受けたため、これほど急速に販売数が落ちたと推測されています。
一方で、急速に販売数が伸びているのは、音楽DVD です。2002年の340万枚から、2003年は790万枚と、販売数は倍以上伸びています。また、高音質メディアであるSACD とDVD-Audio の販売数も、前年の20万枚から、50万枚と倍以上の伸びを見せました。ただし、これらのメディアの販売数はまだわずかなものなので、これらのメディアの伸張が、全体の販売の減少を補えるようになるまでには、まだまだ時間が掛かりそうです。