奈良美智+graf 「A to Z」

この夏最高のロックフェス「夏の魔物」が終わった翌日は、弘前をふらふらと歩き回りました。

最初に行ったのが、奈良美智+graf A to Z です。この展覧会は、吉井酒造煉瓦倉庫で行われていました。この倉庫は、かなりだだっ広いのですが、展覧会は、この巨大な空間を最大限に使ったものでした。

倉庫内には、古びた板で作られた、様々な小屋が建てられています。小屋のかたちは、二階建てや、小さな部屋が連なるものなど、千差万別でした。観衆は、この小屋の中を、あっちこっちうろうろしながら、奈良美智の絵やキャラクターや動物のフィギュア、写真などを眺めることになります。そのため、雰囲気的には、ミニテーマパークという感じでした。

とにかく投下されたアイデア量や手間の量が半端ではなく、かわいらしくて、楽しいけれど、無茶苦茶過剰なエネルギーであふれかえっていた展覧会でした。前の日に「夏の魔物」で日常の汚穢を洗い流し感性が敏感になっていたので、その過剰さをヒリヒリと感じました。奈良美智なんて、もう世界的なビッグネームで、普通の美術展みたいに白い壁に絵を並べただけで、お客さんなんて沢山入って、儲かると思うのですが、あえてこういう無茶苦茶大変なことに挑戦するのは格好良いなと思いました。考えてみれば、奈良美智もロックファンなんですよね。やっぱり、ロックは、迸るエネルギーと過剰だなと感じ入りました。

弘前は、奈良美智の故郷らしいですが、彼の展覧会を見に、余所からの沢山の人が訪れて、お金を落として行くでしょうから、経済的にも非常に貢献しているでしょう。ロックして、きちんと金が稼げるというのは、本当に羨ましい限りです。