定禅寺ジャズフェスティバル

仙台の中心を走る大通りである定禅寺通りを中心として、9月9日と9月10日に開催された定禅寺ストリートジャズフェスティバルに行って来ました。このフェスティバルでは、路上や公園に無数のステージが据えられ、そこでジャズやフュージョン、アフリカン、ラテン、ボサノヴァ、ソウル、ファンク、ポップスなどありとあらゆる音楽が聴けるというものです。

設置されたステージは90、出演バンドは651らしいので、街の中心部を何気なく歩いているだけで、数多くのバンドの演奏が聴けるという、凄いことになっています。街中が、無数の音楽で埋め尽くされるという、音楽好きにとっては夢のような環境が、仙台に出現するのです。開かれるのが週末ということもあって、街中は沢山の人で埋め尽くされていました。残念ながら一日中小雨が降るような悪天候だったのですが、老若男女問わず、ありとあらゆる人が、路上で色々な音楽を楽しんでいました。

私が、最初に見たのは、西公園旧図書館前ステージで演奏した七ヶ浜国際村たたき隊Groove7 です。このグループは、上は中学生くらいまでの子供のグループで、ジャンベなどを持ち、アフリカのリズムを演奏していました。結構大人数だったのですが、アレンジもきちんとしていて、指導する人はえらいと思いました。中には、ミッシー・エリオットの「Work It」を思い起こさせるような曲もあり、ヒップホップの源流はアフリカなんだと実感しました。

次にせんだいメディアテークで、スーさんバンドを見ました。このバンドは、ギター、ピアノ、ベース、ドラムのジャズバンドでした。地味な曲が多かったのですが、スネアやバスドラムが少なく、金物中心のドラミングを興味深く見ていました。

次に、通りの真ん中のステージで演奏しているジャズバンドを見ました。このバンドでは、ドラムがスネアを叩きまくっていて、やっぱりスネアの音が良いバンドの演奏は、カッコイイと思いました。

次に、定禅寺パークビル前ステージで、6th street south town band の演奏を聞きました。このバンドは、女性ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムのボサノババンドでした。演奏は、余り上手くなかったですが、歌の女性の声はなかなかに伸びやかで、なおかつサービス精神も旺盛で、聴いていて楽しかったです。

その後は、市民広場のサウンドチェックで、思いもよらずカッコイイ曲を演奏していたバンドがいたので驚いたり、アンジェラ・アキが昼間に演奏していたことを知りガッカリしたりしていました。

6時半からは、勾当台公園野外音楽堂で行われた、Fun-Fun-Jungle というイベントを見ていました。最初に出てきたのは、Vasallo Crab75です。Vasallo Crab 75は、ギターポップ的な軽さとポップさを持ちながら、ロック的な激しさ、そして凝ったリズムも持ち合わせているという、非常に演奏能力、インテリジェントの高いロックバンドでした。カッコ良い!!

次に出てきたのは、F.A Choir というゴスペルグループです。このグループは、中心となる女性はプロのようですが、後は普通の人と言うことで、歌もそんな感じでした。前のバンドが非常に演奏が上手かっただけに、凄い落差だと思いました。

その後は、Ben Kemp というニュージーランド出身のシンガーソングライターが演奏しました。編成は、アコギとパーカッションとフルートともう一人でした。フルートを多用していましたが、大変地味な感じでした。

お次は、たけしという、女性二人、男性三人のアカペラグループでした。歌の方は、それなりに上手かったです。アカペラグループを見るといつも思うのですが、ヴォイスパーカションよりも、本物のウッドベースを使った方が絶対に良い音だろうと思いました。

お次は、お目当ての遊佐未森さんです。彼女は仙台出身だったそうです。編成は、キーボード、フルート、アコギでした。しかし、遊佐さんの歌の上手いこと上手いこと。声量があるわけではないのですが、高音をファルセット気味に歌うときの声のゆらぎは、彼女独特で、誰にも真似ができないのだろうと思いました。彼女の声には、生楽器の方が似合うと思うので、キーボードではなく、生ピアノだったらもっと良かっただろうと思いました。

その後は、市民広場に戻り、i-dep の演奏を少しだけ聴くことができました。私は、i-dep というバンドを知らなかったのですが、クラブミュージックと、ジャズと、ポップスを混ぜたようなバンドでした。非常に洒落ていて、なおかつポップで、これは思わぬめっけものだと思いました。早速、iTMS で曲を落としてしまいました。

次に、ローラン・コックという、フランスから来たジャズピアニストが演奏しました。非常に静かで、地味な曲ばかりを演奏していました。

このフェスは、主に参加者のカンパやボランティアで運営されているということで、私も、フェスのオフィシャルTシャツを買い、少しカンパをするなど、ささやかながら助力しました。

とにかく、上手い人も、下手な人も、プロもアマチュアも演奏でき、偶然の出会いに任せて、街中を歩き回って、音楽を聴くことができるというのは、本当に楽しいものだと思いました。参加型音楽フェスティバルとしては、ほぼ理想型ではないでしょうか。このような、演奏する側にとっても、聴く側にとっても敷居が低く、新しい音楽に出合う機会にあふれている音楽フェスティバルは、なかなかないと思うので、ぜひ今後も続いてほしいと思いました。