定禅寺ストリート杜の都アート展

文化の日だからということか、仙台の目抜き通りである定禅寺通りで「杜の都アート展」が開かれました。このイベントは、定禅寺通りの真ん中にある緑地帯で開かれるアートのフリーマーケットです。数百メートルにわたって、参加者が自分の作品を飾ったり、売ったりしていました。イラスト、絵画、写真、手芸品、工芸品、洋服や帽子まで、色々なスペースがありました。

このフリマを見て思ったのは、一見さんの足を止めさせるのは、なかなか難しいということです。私は、主にイラストや絵画を見たいと思ったのですが、多くのスペースでは、ポストカードが置いてあるだけだったので、余り面白くないというところはありました。アクリルで丁寧に描いた絵が飾ってあったりすると、足を止めて見てみようと思う気にもなりますが、小さな印刷物しかないと、よっぽど興味が引かれる図柄でないと素通りしてしまいます。

また、フリマという形式に引っ張られたせいか、自分の作品をディスプレイするというよりも、商品を媒介とした金銭的コミュニケーションに主眼が置かれているようなスペースも多かったような気がしました。しかし、イラストだと、ポストカードを作る、あるいはその場で似顔絵を描くくらいしか金銭的コミュニケーションの手段がないようでした。彼らは、お金を儲けることは別に考えていないと思いますので(コンビニでバイトした方がよっぽど儲かるでしょうから)、多分もうちょっと違うコミュニケーションの仕方を考えた方が良いのだろうと思いました。

印刷のイラスト、小さなサイズのイラスト、余り良くない絵の具を使った水彩画などは、非常に弱いなと思いました。個人的には、パッと見てインパクトがあるような、最低でもA3ぐらいの大きさのある程度書き込まれたイラストがあると、かなり目を引くなと思いました。中には、大きめのキャンバスに油絵の具やアクリル絵の具で描かれた絵やイラストもありましたが、そのような展示は、かなり目立つと思いました。印刷したイラストやポストカードしかないスペースは、やはりほとんど注目されていなかったような気がします。

今回、一番人が集まっているスペースは、私が見た印象では、アクセサリーや小物などを置いてあるスペースだったと思います。結局、金銭的なコミュニケーションは、実用品において最も促進されるので、これは仕方がないかとも思いました。イラスト系のスペースは、その多くが余り人を集めておらず、実用から切り離された、ただ見るだけのメディアを媒介として、何らかのコミュニケーションを促進させるのは非常に難しいと思いました。

現在、色々なところで、アートフリマが開催されているようですが、おそらくこの需要は、アートの消費者の需要ではなく、アートの供給者の需要によるものだろうと思います。画集を買ったり、絵画を買う人なんて、ほとんどいませんし。私はアートの消費者なので、市場が広がると、間接的に自分も利益を享受できると思っているのですが、それもなかなか難しいなと思いました。アートがもっとファッションのように消費され、性的欲求の充足やセルフイメージの構築と結びつけば、莫大な需要が生まれると思いますが、それも本末転倒ですし、難しいところですね。