小田嶋隆氏インタビュー】テレビ断末魔の悲鳴を聞いているみたいですよね / 前編

小田嶋氏■『読売ウィークリー』はわりとタブーのない雑誌で、ジャニーズのタレントなんかもけっこう取り上げていますけど、編集部から「これはちょっと」といわれたことはほとんどないですね。
クレームの入りやすい書き手のようなイメージがあるみたいですけど、私の場合、原稿が引っかかったことって、じつはほとんどないんですよ。唯一、NGを出されたのって、昔連載していた音楽誌くらいですね。音楽雑誌って利権の渦みたいな業界だから、たいしたことを書いているわけでもないのに「これは勘弁してください」となることがすごく多い。「反体制!」とかいいながら、あれほど腰の引けた業界はないなっていうくらい。

たとえば書評だったら、嫌いな本を取り上げてわざわざ「つまらない」って書くのも大人げない話だから、面白いと思った本だけ取り上げていればいいし、それで十分回るわけです。だからそんなに酷い書評というのはありえないんだけど、レコード評の場合は利権で動くからホントにクズみたいなレコードについて書かなければいけなかったりする。テレビの場合はもっと酷くて、どれを見てもクズだから、真っ当に取り組んでも結果的に悪口になってしまうんですね。しょうがないですね、これはもう。

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ちなみに、音楽雑誌にインタビューや記事が載っているアーティストは、ほとんど例外なくその雑誌に広告を掲載しています。雑誌は、基本的に広告を集めるための媒体ですので。何分お金が絡みますから、有名無名、広告の有無、宣伝・販促費に関係なく、扱いを決めるというものでもありますまいね。