雑誌は不振、書店は苦境 2006出版界この1年

 出版科学研究所によると、1〜10月の推定販売額は約1兆8038億円で前年同期に比べ2.1%下がっている。内訳は、雑誌が約1兆45億円と4.7%減で、10年連続の前年割れが必至だ。これに対して書籍は7993億円と1.4%増。「ダ・ヴィンチ・コード」ブームや、書店店頭を席巻した塗り絵本など、話題が目立ったのも確かに書籍の方だった。

 ソフトバンク新書、朝日新書幻冬舎新書など、引き続き新書の創刊が相次いだ。『国家の品格』に象徴されるように、ごく一部の新書本が極端に売れる現象は今年も続いた。

 書店の苦境がいっそうあらわになった年でもあった。日本書店商業組合連合会(日書連)が6年ぶりにまとめた実態調査では、実に85%が経営悪化を訴えている。新刊書籍も雑誌も「希望通り入荷しない」という声が半分以上。その一方で、1〜10月の返品率は金額ベースで書籍が37%、雑誌が34%(出版科学研究所調べ)と、高水準が続く。こうした流通の無駄は、読者が必要な本に巡り合う機会を奪っている。

(中略)

 さて、文字・活字文化振興法制定から1年半がたつが、具体的施策は見えてこない。バロメーターは図書館だ。日本図書館協会は10月、公立図書館の整備など6点を政策提言としてまとめた。未設置市町村が3割近くあり、司書も資料費も足りない、という寒い実態に政治や行政はどう向き合うのか。本は文化の礎だ。「美しい国」をめざすというのなら、読書環境づくりもまた欠かせないはずだが。

asahi.com

出版不況と言われつつ、音楽業界と比べれば、まだずっと落ち込みが少ないように思います。流通の無駄を省くためにに、今後は益々アマゾン様が大活躍なさるのでしょうね。