「ピュア・ハーツアート展〜いぶき〜」

少し前になりますが、仙台のメディアテークで、知的障害者による芸術祭「ピュア・ハーツアート展〜いぶき〜」が開かれていたので、見に来ました。この展覧会では、年齢問わず、障害者による絵画や書道、写真、陶芸などの様々な作品が展示されていました。

障害者によるアートというと、アウトサイダーアー、エイブル・アートなどが思い起こされます。

今回の展覧会を見て感じたのは、美術教育を受けていないということが、個性がある作品を作るということを意味しないと言うことです。つまり、美術教育を受けていない人は、それはそれで他にも良く見られる作品を作るのであり、没個性的に見えるということです。ちょうど、この展覧会の隣のギャラリーで、小中学校の生徒の作った美術作品も展示されていたのですが、どちらも余り変わりがないように感じました。

つまり、アウトサイダーアートなりアール・ブリュットが、美術足り得るのは、美術界のインサイダーが、美術界の基準に則って美術だと評価できる作品を選別しているからであって、その外側には、「アート」とは見なされない、美術界に属さないアウトサイダーによる作品が大量にあるということです。アートたりうると見なされる「アウトサイダーアート」は、極々一握りに過ぎないのでしょう。

この展覧会で、美術的に面白みがあった作品は、そのほとんどが絵画教室の生徒さんの作品だったということは、非常に象徴的だと思いました。そのため、この展覧会を見て、自分を純粋に表現することと、それが他者からオリジナルであると見なされることは、根本的に別のことなのだと思い知りました。