マリアの心臓

原宿の後は、渋谷に移動しました。タワレコでドイツのCD を見たのですが、Wir Sind Helden の最新アルバムはあったものの、やはり余り数はありませんでした。

その後は、パルコ向かいの雑居ビルの地下一階にある「マリアの心臓」というギャラリー(?) に行ってきました。ここは入館料千円を払って、中の展示を見るという店なのですが、店の広さは普通のマンションくらいで、かなりの狭さでした。しかし、内部はかなり暗く、照明や内装も非常に凝っており、かなり耽美な雰囲気が漂っていました。

展示してあったのは、人形、イラスト、オブジェ、ステンドグラス、人体解剖標本など様々でした。展示されていたのは、「二十面相通信」さんで、セレクトしているような耽美的なものばかりでした。今回の展示は、テーマが日本の夏だったのか、文楽人形の首が飾ってあったり、天野可淡の人形が和服を着ていたりしました。

創作人形の中に、細い胸から腹と下腹部が極端に膨らみ突き出ている少女の人形がありました。幼い子供は、お腹が膨らんでいることがありますが、その膨らみをより強調しようとしたため、あのようなかたちになったのだろうと思います。

また、一番奥に、妊娠した女性の腹から印を結んだような赤ん坊が何体もつきだしているという人形がありました。人形の造形はコミカルで、丸っこい感じでした。人形は二体あり、一体は幼児の配列が腹を縦断、もう一体は腹を取り巻くように円状に幼児が配列されていました。

また、緑の衣装を着た恋月姫の人形がありました。私は、恋月姫の人形の実物を見るのは初めてだったのですが、その美しい造形だけでなく、手足の指の爪の先まで、完璧に磨き抜いた、その仕上がりの美しさに感嘆しました。素晴らしいクラフトマンシップだと思います。

今回の展示のメインらしく多くの文楽人形の首に取り巻かれ、展示の真ん中に据えられていた天野可淡の少年の人形は、あの独特の表情とその大きさ故に存在感がありました。ただ、少し古い人形だからか、表面の塗装がひび割れたり、剥離しており、状態が余り良くないようでした。

他には、キャンバスの上に、割けて弾けた血に濡れた肉のようなものが盛り上がっている作品もありました。ちなみに、たまたまこの作品の作者の方が来ており、他のアーティストの方と話しているのが聞こえたのですが、やはりアーティストは独特の感性をしていると思いました。

また、山本タカトの墨で書いたような白黒の絵がありました。幽霊の女性を描いたのかは分かりませんが、非常に見事な筆遣いで、流れるような長い黒髪が描かれていました。

また、宇野亜喜良の絵もありました。他には、少年が射精した白い精液を河童がくわえようとしているようなゲイアートもありました。さらに、上方には、大きな派手な衣装を着た人形が数体並べられていました。

会場内には、テーブルと椅子も据え付けられており、そこで飲み物を飲みながら休憩することもできます。私は、「マリアの心臓」に来る前にエクセルシオールで休憩して来たのですが、どうせならこの会場で飲み物を頼み、ゆっくり休めば良かったと後悔しました。

狭いところですが、人は結構次々に来ていました。その中に白ロリ少女と黒ロリ少女もいたので、若い世代では、耽美とゴスロリはやはり近いところにあるのだと思いました。ゴスロリ少女は、渋澤龍彦を読むのでしょうか。