「HEAVY METAL〜Louder Than Life〜」

ヘヴィー・メタルの歴史をジミー・ヘンドリックスの時代から現代のスリップノットまで、バンドのメンバー、雑誌の編集者、学者などのインタビューによって追いかけたドキュメンタリー映画です。

基本的にストーリーラインやテーマははっきりしておらず、余り焦点が定まっていない作品だと言えます。語り口も、全てがインタビューによって構成されており、人によって言うことが違うために、余計に作品の主張は曖昧になっています。しかし、それは逆に言えば、ヘヴィーメタルという音楽ジャンルや歴史、人々の考えの多様性や複雑性をそのまま見せているとも言えます。

ヘヴィーメタルという音楽は多くの人々から忌み嫌われており、ヘヴィーメタルファンも社会のはみ出しもので、自分たちは他の奴らとは違うと思っいるし、コミュニティー的な性格を持つと言うことで、パンクやパンクスに似ているなと思いました。彼らは両方ともアメリカの学校ではナードなわけで、日本で言えばメタルを聞くことは、アニメを見てコミケニコニコ動画で仲間たちと交流することに相当するのでしょう。

ただ、メタルは、パンクと比べると遙かに商業的に成功していたし、もっとメジャーで商業的だったと感じました。パンクの反商業主義やバンドやファンの貧乏さ加減と比べると、メタルは遙かにお金に縁がありそうだと思いました。

あと、個人的に印象的だったのは、90年代以降のヘヴィーメタルに対するパンテラの影響の大きさです。

個人的に複雑すぎて、今一つ消化しきれなかったところもありましたが、色々勉強になった映画でした。