OSTER project feat. 初音ミク 『みくのかんづめ』は、オリコンアルバムチャート21位

OSTER project feat. 初音ミク 『みくのかんづめ』は、オリコンアルバム週間チャートで21位でした。売り上げは、10043枚です。このアルバムは、最初こそデイリー8位に入ったものの、すぐに急降下し、現在はデイリーの30位に入っていません。

「みくのかんづめ」の売り上げ数は、livetune の『Re:package』の初週の売り上げ数2.0万枚の約半分であり、チャートの下落の速度も速いということで、『Re:package』と比べると、一部の固定ファン以外には余り売れていないことが推測できます。

OSTER project さんと言えば、最初期から初音ミクを使ったオリジナル曲をニコニコ動画で発表してきた、Vocaloidプロデューサーの代表格で、人気や知名度で言えば、ryoさんに次ぐ二番手と言って良いかと思います。ニコニコ内での人気や知名度を考えると、kzさんやかじゅきさんよりもかなり上だと思いますので、ニコニコ内での人気や知名度が、そのままCDの売り上げに反映されるわけではないことが分かります。

そして、『みくのかんづめ』や「桜の雨」の売り上げを見ると、どうもニコニコ動画内での人気や注目は、そのままパッケージの売り上げにつながるわけではなく、ニコニコ動画発の楽曲をその外側に流通させることは、かなり難しいことが分かります。『Re:package』が非常に成功したので、私はアマチュアミュージシャンがメジャーになる経路として、Vocaloidニコニコ動画が活用できるのではないかと期待したのですが、どうも『Re:package』は例外だったようです。

Osterさんの人気や、「桜の雨」の周到な展開をもってしてこの数字なので、事実上現在のニコニコ動画発の楽曲の売り上げは、アルバム1万枚(累計は1万5000くらいでしょうか?)、シングル5000枚 (累計で8000枚くらいでしょうか?)が上限なのかと思いました。

同人で発売した場合には、これほどの枚数は売れないでしょうし、ニコニコ動画を見ない人に聴いてもらう機会を作るという意味では意味のある発売だと思いますが、おそらく単純にお金を儲けたいと思えば、同人で発売した方が良いのだろうと思います。

何故、『みくのかんづめ』は、『Re:package』よりもずっと少ない数しか売れなかったかを考えると、仮説は二つ立つかと思います。

一つ目は、両方とも、ほぼニコニコ動画の視聴者のみに売れた。Osterファンは、livetuneファンよりも、パッケージに魅力を感じなかったことです。

二つ目は、『みくのかんづめ』は、ニコニコ動画の視聴者にしか売れなかったが、『Re:package』は、ニコニコ動画の視聴者以外にも売れたことです。

私は、第二の仮説が成り立つ蓋然性が高いだろうと考えています。というのは、『みくのかんづめ』は発売直後に一気に売れ、その後売り上げが急降下するという、熱心なファン以外には余り購入者がいない売れ方をしたのに対し、『Re:package』が継続的に売り上げを伸ばすという、熱心なファン以外にも購入されている売れ方をしたからです。

何故『みくのかんづめ』が熱心なファン以外には売れず、『Re:package』はそれ以外の人たちにも売れたのかを考えると、『みくのかんづめ』は初音ミクというキャラクターのキャラクター性を強調したパッケージや、キャラソン的な歌詞の楽曲によって構成されるオタク向けのアルバムになっているのに対し、『Re:package』は初音ミクのキャラクター性の萌え要素を削ぎ落としたパッケージや中田ヤスタカ的なエレクトロポップが中心となったサウンドの楽曲によって構成される、必ずしもオタクのみをターゲットにしたのではないアルバムになっているからではないかと思います。

このように考えると、現在Vocaloidのプロデューサーで最も人気があるのが、kzさんと同様に、おそらくロッキングオン・ジャパン育ちで、90年代後半以降のサブカルロック好きであろうryoさんであることは、非常に示唆的であるようにも感じられます。


みくのかんづめ

みくのかんづめ