2008年の10曲
皆様、明けましておめでとう御座います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2008年の音楽界を振り返ってみると、個人的には、自分の好みの曲やアーティストを手軽に見つけることができるインフラが揃ったため、自分の好みの曲を沢山見つけて聴くことができた年でした。プロのミュージシャンが音楽でちゃんとご飯を食べていくのはますます難しくなっていると思いますが、アマチュアミュージシャンが多くの人に音楽を聴いてもらったり、ちょっとしたお金を稼ぐインフラは確実に整ってきており、リスナーもその恩恵を受けているという状況にあると思います。
とりたてて大きな音楽的事件や流行はないので、祭好きの人には面白くないかも知れませんが、単なる音楽好きには、理想的な状況が実現していると思います。
というわけで、2008年に私が気に入った10曲は以下のようなものです。
のあのわ「little heart」
Napsterで知ったのあのわは、個人的に昨年出会った新人で、最も気に入ったバンドです。凝った演奏に、キャッチーなメロディーを乗せ、女性ヴォーカルが歌うというバンドですが、全てにおいて高水準で、聴き応えがあります。「little heart」は、印象的なベースラインの反復が曲を引っ張り、地味な展開を凝った演奏で紛らわせながら次第に曲のテンションを上げ、最後の最後でカタルシスを感じさせるという、構成の妙を堪能できる曲です。
彼らは、2月にデビューするそうなので、今後の展開に期待です。
http://www.myspace.com/noanowa
http://sound.jp/noanowa/
通販とライブ会場でしか買えないシングルを出すなど、インディペンデントな活動を続けるルーシーですが、昨年はシングルとアルバムを一枚ずつ出すなど、近年にないほど精力的に活動していました。
「耳をすませば」は、聴いていて爽快で、気持ちの良いポップソングなのですが、余りにもポップスとしての質が上がりすぎてしまったため、ただ気持ちがよいだけで終わらない曲になっています。音や曲、歌が、余りに透明感にあふれているため、聴くと遠い目になってしまいます。
http://www.myspace.com/advantagelucyofficial
http://www006.upp.so-net.ne.jp/advantageLucy/
Peppertones 「Ready, Get Set, Go!」
韓国のPeppertonesは、今時珍しいシブヤ系ユニットです。「Ready, Get Set, Go!」は、シンバルズの遺伝子を受け継いだ、疾走感にあふれたギターポップです。『Colourful Express』に収録された「세계정복世界征服」も、坂本真綾の名曲「プラチナ」に勝るとも劣らない、疾走感溢れるストリングスポップスの大傑作になっています。
菅野よう子と松本隆というプロ中のプロが作った、アイドルポップスの大傑作だと思います。「キラッ☆」のあざとさも含めて、職業作家が本気出して作った楽曲のクオリティーの高さを堪能させていただきました。
牧野由依「シンフォニー」
牧野由依はNapsterで知ったのですが、彼女の『ARIA』関連の曲「スピラーレ」「ユーフォリア」「シンフォニー」「ウンディーネ」は、年間通して良く聴きました。ややゆったりしたテンポと、凝ったサウンドやメロディー、流麗な雰囲気は、何度聴いても飽きることがありません。
『ARIA』好きのharunacutePの「優しい奇跡」も、この系列に並ぶ素晴らしい一曲でした。
sasakure. UK 「アドレッセンチメートル」
初音ミクを使ったこの曲は、疾走感溢れるギターポップになっています。メロディーやリズムの良さもさることながら、木琴のような音色をしたシンセサイザーのフレーズのループが非常に印象的で、耳に残りました。
2008年は、Vocaloid楽曲が非常に豊作で、ちえPの「ロケット宅宙便」や「白雪の巫女」、ずどどんPの「next」、ジミーサムPの「Adam」や「Room 206」などお気に入りの曲が沢山ありました。
livetune feat. 初音ミク「Our Music」
ニコニコ動画からメジャーへと進出し大成功を収めたlivetuneですが、『Re:Package』のために書き起こされた「Our Music」はそれまで発表された曲にも勝ると劣らない曲でした。この曲は、kzさんの曲で最もハウス的な要素が強く、聴き始めた時には、余りヴォーカルが目立たないし、他の曲のような印象的なシンセサイザーのフレーズも出てこないということで地味に感じられるのですが、次第に盛り上がり、後半初音ミクのヴォーカルと印象的なシンセサイザーのフレーズの魅力が爆発するという、7分という長さを感じさせない曲になっています。
Perfume 「Puppy Love」
大ブレイクを果たし、すっかりお茶の間のアイドルになったPerfumeですが、彼女たちのアルバム『GAME』は、昨年の音楽シーンを代表する一枚だったと思います。その中に収められた「Puppy Love」は、これまでのPerfumeのイメージを覆す、(打ち込みの)生ドラムを使った、ミドルテンポのポップスですが、切ない歌詞とメロディーが絶妙で、中田ヤスタカの乙女心が溢れ出ていた一曲でした。
サンボマスター「光のロック」
サンボマスターは、昨年も相変わらず洗練されていながらも、どこか暑苦しく、泥臭いロックをやっていましたが、「光のロック」「I Love You」「Very Special!!」といったアルバム先行シングルは、どれも名曲揃いでした。どの曲も、メロディーも良いし、演奏も凝っていて、なおかつ熱さのある曲ばかりでした。個人的には、JunkBoxで見た彼らのライヴが、2008年のベストライヴでした。
フラワーカンパニーズ「はぐれ者讃歌」
全然2008年の曲ではありませんが、じわじわとその良さが身にしみて分かってきたのが、フラカンの「はぐれ者讃歌」です。この泥臭さ、この暑苦しさ、この青臭さは、初期衝動を失わずにベテランバンドとして経験を積み重ねてきたフラカンでこそ表現できるものだと思います。
2008年も沢山の良い曲に出会えたので、今年も多くの素晴らしい曲に出会いたいと思っています。